トーウツ岳

トーウツ岳（当沸岳）

北海道のオホーツク総合振興局管内に位置するトーウツ岳（当沸岳、標高742.3メートル）は、紋別郡雄武町と紋別郡興部町の境界にまたがる山です。この山の山頂には、国土の測量基準となる二等三角点「勝知山」が設置されています。

地理と概要

トーウツ岳は、北見山地の北部に連なる主稜線から派生した支稜線上に位置しますが、厳密にはその稜線からわずかに雄武町側に外れた場所にあります。北見山地の主要なピークである毛鐘尻山と天北峠の間に存在する、標高808メートルの名を持たないピークから西方向へ伸びる支稜線の一部を構成しています。

山名の由来と歴史

「トーウツ岳」または「当沸岳」という山名は、この山が当沸川の源流となっていることに由来すると考えられています。その語源はアイヌ語の「トウッ（to-ut）」にあるとされ、これは「沼の・脇川」を意味すると解釈されています。かつては「カッチヌプリ」という名で呼ばれていたという伝承もあり、山頂に置かれた三角点の名前である「勝知山（かつちやま）」は、この旧称を反映している可能性が指摘されています。

「カッチヌプリ」というアイヌ語の解釈についても複数の説が存在します。一つは「katci-nupuri」として「発火棒・山」を意味するという説です。しかし、別の解釈として「カッ・チ・ヌプリ」として「姿・男性器・山」を意味すると考える人もいます。また、「カッチヌプリ」が現在のトーウツ岳そのものを指すのではなく、トーウツ岳の西方にある標高665メートルの岩峰を指す名称であったという説も存在しており、歴史的な名称の特定には複雑な背景が見られます。

登山

トーウツ岳には、一般に整備された登山道が存在しません。この山を目指す場合、一般的なアプローチは道道137号から始まり、雄武ダムの北側、その東側から流れ込む沢に沿って伸びる林道を進む方法です。しかし、この林道は多くの場所で藪に覆われているため、車両での通行は不可能であり、徒歩でのみ通行可能です。林道をある程度進んだ後、トーウツ岳の山体に近い地点から林道を離れ、尾根などを拾って山頂まで直登するのが主要なルートとされています。登山道がないことに加え、藪漕ぎなど困難な箇所を含むため、登頂には地形を読む力や経験が求められます。

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