トータル・コントロール

『トータル・コントロール』：ジョン・ノーラム、ソロキャリアの第一歩

『トータル・コントロール』（Total Control）は、スウェーデンのロックバンド、ヨーロッパのリードギタリストとして活躍したジョン・ノーラムが、同バンドを脱退した後の1987年に発表した記念すべき初のソロアルバムです。この作品は、彼が自身の音楽性を追求し、ソロアーティストとして新たな道を歩み始める上で、重要な基盤となりました。

アルバムの制作には、元ライジング・フォースのベーシストであり、後にタリスマンを結成する盟友マルセル・ヤコブが全面的に協力しており、多くの楽曲を共作しています。また、リードボーカルとして、ジョン自身に加え、スウェーデンのハードロックバンド、マディソンで活動したシンガー、ヨラン・エドマンが3曲で参加しています。その他のパートも実力派ミュージシャンが担当し、アルバムサウンドを構築しています。

本作から先行シングルとしてリリースされた「レット・ミー・ラヴ・ユー」は、ジョン・ノーラムとマルセル・ヤコブの共作による楽曲です。このシングルは、スウェーデンのチャートで最高4位を記録し、3週間にわたりトップ10内に留まるヒットとなり、ソロアーティストとしての彼の成功を予感させました。

アルバムには2曲のカヴァー曲が収録されています。ヴィニー・ヴィンセント・インヴェイジョンが1986年のアルバムで発表した「バック・オン・ザ・ストリーツ」と、アイルランドの伝説的なバンド、シン・リジィが1976年のアルバム『ファイティング!!』に収録していた「ワイルド・ワン」です。「ワイルド・ワン」は、元々「レット・ミー・ラヴ・ユー」のB面として発表され、アルバムではCD版のボーナストラックとして収録されました。

マルセル・ヤコブとの共作である「エターナル・フレイム」は、彼の後に結成するバンド、タリスマンのライブでも人気のある楽曲となり、タリスマンのデビューアルバムが1993年に再リリースされた際には、ライブバージョンがボーナストラックとして追加されることにもなりました。インストゥルメンタル曲「風を追いかけて」など、ジョン・ノーラムのギタリストとしての魅力が詰まった楽曲群が収められています。

アルバム発売当時、日本盤の広告に用いられた『俺のギターには、金玉がついている。』という、非常にインパクトのあるキャッチコピーは、多くのファンの記憶に残っています。

収録曲

特記なき楽曲はジョン・ノーラムとマルセル・ヤコブの共作。10.はインストゥルメンタル。

• - レット・ミー・ラヴ・ユー "Let Me Love You" – 3:21
• - 果てしない想い "Love Is Meant to Last Forever" – 3:39
• - トゥー・メニー・ハーツ "Too Many Hearts" – 3:11
• - サムワン・エルス・ヒア "Someone Else Here" (John Norum, Marcel Jacob, Peter Hermansson) – 4:11
• - エターナル・フレイム "Eternal Flame" – 3:12
• - バック・オン・ザ・ストリーツ "Back on the Streets" (Vinnie Vincent, Richard Freedman) – 4:09
• - ブラインド "Blind" – 3:51
• - ロウ・オブ・ライフ "Law of Life" (Matz Lindfors, Max Lorentz) – 4:20
• - 栄光への絆 "We'll Do What It Takes Together" – 3:23
• - 風を追いかけて "In Chase of the Wind" – 3:00

CDボーナス・トラック

• - ワイルド・ワン "Wild One" (Phil Lynott) – 4:18

参加ミュージシャン

• - [ジョン・ノーラム]] - ボーカル、 ギター
• - ヨラン・エドマン - リード・ボーカル(on 2, 5, 6)、バッキング・ボーカル
• - マルセル・ヤコブ - ベース
• - パー・ブロム - キーボード
• - ピーター・ヘルマンソン - ドラムス
• - ミッケ・ラーソン - [[フレットレスベース]
• - マックス・ロレンツ - [ハモンドオルガン]
• - マッツ・リンドフォース - バッキング・ボーカル(on 8)

『トータル・コントロール』は、ジョン・ノーラムのソロキャリアを力強くスタートさせた作品として、彼のディスコグラフィーにおいて重要な意味を持つアルバムです。

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