トーラス SMT

トーラス SMT（Taurus SMT）

トーラス SMTは、ブラジルのトーラス社によって開発された短機関銃で、2011年に一般に初めて公開されました。この武器は、9x19mmパラベラム弾を使用するSMT9と、.40S&W弾を使用するSMT40の2つの主要バリエーションを持ち、さらに小型化されたモデルやセミオート射撃限定の仕様も存在しています。SMTの名称は「SubMetralhadora Taurus（トーラス短機関銃）」に由来しています。

開発の背景

トーラス社は、これまでイタリアのベレッタ社やチリのFAMAE社を基にした短機関銃を製造していましたが、2002年から独自設計の短機関銃の開発に着手しました。FAMAE社との協力があったとされ、外観はトーラスの特徴を持ちながら、内部構造にはFAMAE社製の短機関銃と共通する部分が見られます。2011年、リオデジャネイロでの防衛装備展示会で盾に登場し、同年にブラジル陸軍から制式認定を受けました。

設計の特徴

SMTはスチール製の機関部に強化プラスチックを用いたグリップ、ストック、ハンドガードを取り入れた現代的な設計で、人間工学にも配慮されています。トーラス社は、この銃を都市部での作戦に最も適したモデルと位置づけています。

作動方式はシンプルブローバックを採用しており、命中精度の高いクローズドボルト方式を利用しています。9x19mmパラベラム弾ではバナナ型弾倉を、.40S&W弾ではストレート型弾倉を使用します。また、射撃モードはフルオート、セミオート、2発バーストから選択可能です。セレクターは左右両方で操作でき、コッキングハンドルも容易に配置を変更できます。ストックは折り畳み式で、長さは3段階に調整できます。また、上面には光学機器用のピカティニー・レールが装備されており、ハンドガードの両サイドや下部にもオプションでレールを追加可能です。

運用現状

トーラスSMTはブラジル陸軍や法執行機関で採用されており、バングラデシュ警察でも使用されています。しかし、ブラジルの警察や軍警察に配備されたモデルについては、安全性や品質に関する問題が報じられており、一部の運用が中止されたケースも存在します。一方、ブラジル陸軍のSMT9やバングラデシュ警察のSMT9Cについては、同様の問題は報告されていません。

派生型の種類

トーラスのSMTにはいくつかの派生型があります。

• - SMT9: 9x19mmパラベラム弾使用の短機関銃。
• - SMT40: .40S&W弾使用の短機関銃。
• - SMT9C: SMT9を基にした短銃身、ストックなしの小型モデル。
• - SMT40C: SMT40を基にした短銃身、ストックなしの小型モデル。
• - CTT40: .40S&W弾使用のセミオートのみのピストルカービンモデル。開発初期にはCT40と呼ばれ、短銃身型が実際に生産されています。
• - CT9G2: 9x19mm弾使用のセミオートピストルカービンモデル。
• - CT40G2: .40S&W弾使用のセミオートピストルカービンモデル。
• - CT9G2 30S: ヨーロッパ市場向けの短銃身モデルで、9x19mmまたは9x21mm弾を使用。

採用国

トーラスSMTは、以下の国で運用されています:

• - バングラデシュ: 警察にSMT9Cが導入され、2015年に500丁、2016年に2,500丁が納入されました。
• - ブラジル: ブラジル陸軍がSMT9を、軍警察がSMT40やCTT40を採用しています。

このように、トーラスSMTは多様なデザインと運用ニーズに応える武器として、国内外での地位を築いています。

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