ドゥミトール・プルナリウ

ドゥミトール・プルナリウ：ルーマニア初の宇宙飛行士

ドゥミトール・プルナリウ氏は、ルーマニアで初めて宇宙空間への到達を実現した歴史的な人物です。1981年、ソユーズ40号ミッションの一員として地球軌道に到達し、その名を人類の宇宙開発史に刻みました。

生い立ちと初期のキャリア

1952年9月27日、プルナリウ氏はルーマニア中部の都市ブラショヴに生まれました。故郷で物理学と数学の高等教育を修了した後、首都ブカレストにある工科大学で学び、1976年に航空宇宙工学の学位を取得しました。卒業後は、ブラショヴに拠点を置くIAR社でエンジニアとしての道を歩み始めました。その後、1977年にはルーマニア空軍の士官学校に進んでいます。

宇宙への挑戦：インターコスモス計画

彼の運命が大きく動いたのは1978年です。ソ連主導の国際宇宙協力プログラム「インターコスモス計画」の一環として、宇宙飛行士候補に選ばれました。約3年間に及ぶ厳しい訓練期間中、彼は非常に優秀な成績を収め、その結果、ソ連のベテラン宇宙飛行士レオニード・ポポフ氏と共に宇宙へ向かうミッションに選出されました。

1981年5月14日、搭乗したソユーズ40号はカザフスタンにあるバイコヌール宇宙基地から打ち上げられました。ソユーズ40号は地球軌道上の宇宙ステーション「サリュート6号」とのドッキングに成功し、プルナリウ氏とポポフ氏はステーションに滞在しました。彼らのミッションは8日間にわたり、その間、天体物理学、宇宙放射線、宇宙技術、宇宙医学、生物学など、多岐にわたる分野の科学実験が実施されました。この歴史的な宇宙飛行により、プルナリウ氏は人類史上103番目の宇宙到達者として名を連ねることとなりました。

同年5月22日に無事地球へ帰還した後、彼の功績は国内外で高く評価されました。母国ルーマニアからは最高の栄誉である「ルーマニア英雄」の称号が、ソ連邦からは「ソ連邦英雄」の称号および「レーニン勲章」が授与されました。

宇宙飛行後の多岐にわたる貢献

宇宙飛行を終えた後も、プルナリウ氏は宇宙開発分野を中心に、国際的な舞台および母国ルーマニア国内で重要な役割を果たし続けました。

国際舞台での活動

1985年に宇宙探検家協会（ASE）に加入しました。
1992年からは国際宇宙航行アカデミー（IAA）のメンバーとなっています。
1993年から2004年にかけては、国連宇宙空間平和利用委員会（COPUOS）における宇宙探検家協会の終身代表を務めました。
1994年からは国際宇宙空間研究委員会（COSPAR）のルーマニア国内組織メンバーとして活動しました。
1996年からは、宇宙探検家協会の評議会員を2期連続で務めました。
1992年以降、国連宇宙空間平和利用委員会におけるルーマニア政府代表を務めています。
2004年には、国連宇宙空間平和利用委員会の科学技術小委員会の委員長に選出され、2年間の任期を務めました。

ルーマニア国内での要職

1998年から2004年にかけて、ルーマニア宇宙局（ROSA）の長官として、国の宇宙開発政策を主導しました。退任後も名誉長官の称号を保持しています。
2000年からは、地政学分野の准教授として教育にも携わりました。
2000年12月1日には、ルーマニアの最高位勲章を授与されています。

外交官としての役割

宇宙開発分野だけでなく、外交の舞台でも活躍しました。2004年5月から2005年8月までの期間、ルーマニアからロシア連邦への全権大使を務めました。

軍籍とその後

2007年2月、少将の階級でルーマニア国防省を退役しましたが、その後も文官として同じ階級で業務を継続しました。

2011年には、彼の歴史的な宇宙飛行から30周年を記念した切手がルーマニアで発行され、その功績が改めて讃えられました。

ドゥミトール・プルナリウ氏の生涯は、単なる宇宙飛行士としてだけでなく、科学者、国際的な協力者、教育者、そして外交官として、多岐にわたる分野で多大な貢献を果たした軌跡を示しています。

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