ドウェイト・ウィットニー・ラーネッド

ドウェイト・ウィットニー・ラーネッドの生涯と業績

ドウェイト・ウィットニー・ラーネッド（Dwight Whitney Learned）は、1848年10月12日、アメリカ・コネチカット州に生まれました。彼は1848年12月の小さな村で育ち、1886年から1908年まで新約聖書の注解書を編纂するなど、多岐にわたる学問分野に貢献した教育者です。彼は同志社大学の第2代学長として、日本におけるキリスト教教育に大きな影響をもたらしました。

学問の道を歩む

ラーネッドは、1873年にイェール大学大学院を修了後、25歳でミズーリ州のセーヤー大学の教授に就任しました。しかし、彼の教育に対する情熱はここに留まらず、2年後には日本に渡る決意を固めました。1876年4月から、彼は同志社の創設者である新島襄の傍らで教育に尽力し、草創期の同志社で重要な役割を果たしました。

ラーネッドの講義は、聖書、神学、キリスト教教会史、教理史、新約釈義にとどまらず、数学、物理学、天文学、さらにはギリシャ語やラテン語にまでも広がっていました。彼はまさに多才な教育者であり、その幅広い知識が学生たちに深い影響を与えました。

著作と教育活動

彼の最も重要な業績の一つは、1886年から1908年にかけて訳され出版された『新約聖書注解書』です。この著作は、聖書全巻にわたる最も古い注解書となっており、その後の聖書和訳に改訂版が続くなどの影響を持ちました。また、『羅馬教会論』や『基督教会歴史』といった著書も残しており、彼の学問的な貢献は計り知れません。

ラーネッドの経済学や政治学に関する講義は特に注目を集め、『七一雑報』や『六合雑誌』にその内容が掲載されました。これらの講義は後に『経済新論』や『経済学之原理』として訳され、当時の日本における経済学教育に大きな影響を与えました。さらに、彼は日本の学校で初めて社会主義を教えた教授の一人とされており、その教育活動は幅広い支持を集めました。

同志社大学での学長としての役割

1919年、ラーネッドは同志社大学の学長に就任します。在任中は、多くの学生に影響を与え、近代日本に貢献した著名な人物たちを育てました。彼の指導を受けた学生には、徳富蘇峰、安部磯雄、海老名弾正、深井英五などがいます。徳富蘇峰は、ラーネッドを自らの唯一の師と認めるほど、彼の教育に敬意を表しました。

ラーネッドの教育哲学を体現した言葉「LEARN TO LIVE AND LIVE TO LEARN（生きるために学び，学ぶために生きよ）」は、彼の信念を示しています。この言葉は、彼の教育者としての姿勢を象徴するものとして広く知られています。

退任と帰国

1928年、ラーネッドは同志社大学の学長を退任し、アメリカに帰国しましたが、その後の彼の影響は日本のキリスト教教育や哲学に深く刻まれています。彼が受けた名誉として、1928年には勲三等瑞宝章が授与されています。彼の生涯にわたる教育活動は、同志社大学における基盤を築き、多くの学生に信念を持つ教育を提供したのです。

ラーネッドの業績は、教育者としてのみならず、キリスト教の普及と深化にも寄与したことから、今なお多くの人々に影響を与え続けています。

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