ドジョウ上科

ドジョウ上科（Cobitoidea）について

ドジョウ上科は、コイ目に属する魚類の一群で、一般的に「ドジョウ類」として知られています。このグループは比較的古い魚類で、硬骨魚類の中でも原始的な特徴を持つとされています。また、ドジョウ上科に分類される種類は非常に多く、全体で9科110属、1,050種以上に及びます。かつてはドジョウ科と呼ばれていましたが、淡水魚の分類に取り組む学者、モーリス・コテラットによって、現在のように9科に整理されました。

分布と生息地

ドジョウ上科の魚は主にユーラシア大陸やアフリカ大陸（特にモロッコやエチオピア）に分布しています。これらの環境は河川や湖沼など、淡水域が主な生息地となっています。

形態的特徴

この上科の魚は概ね小型で、細長い体形（蠕虫状または紡錘形）を持っています。多くの種は真の鱗を持たず、特に口が下側に位置し、口髭が発達しています。口髭には味覚や嗅覚の感覚細胞が集中しており、底生の餌を見つけるのに役立っています。また、1列の咽頭歯を持ち、これを用いて餌を摂取します。

繁殖と成長

ドジョウ上科の魚は、日本産の種ではすべてばらまき型の産卵を行います。これらの魚の卵は形態的に非常に似通っていますが、種類によって大きな違いがあります。富栄養状態で水温が変化しやすい一時的な水域に生息する種は、大量の小さな卵を産み、2～3日内にふ化します。一方、貧栄養で安定した環境に生息する種は、少量の大きな卵を産み、通常3～6日でふ化します。成魚は短命なものが多く、通常1～2年ですが、飼育環境では長生きすることもあります。

主要な科の分類

ドジョウ上科には、9つの主要な科が存在し、それぞれに多様な種類が含まれています。以下に代表的な科を示します。

• - アユモドキ科（Botiinae）: 日本含むアジアの温帯から熱帯にかけて分布、体は側扁し、口髭が特徴です。
• - ドジョウ科（Cobitidae）: ユーラシアや北アメリカに分布し、190種以上を含みます。細長い体形と小さな口が特徴的です。
• - フクドジョウ科（Noemacheilus）: 46属630種を擁し、腹鰭の基部が背鰭より前方に位置しています。
• - タニノボリ科（Balitoridae）: 特有の平たい体形を持ち、東アジアに広がっています。

日本のドジョウ上科

日本にはドジョウ上科に属する魚が約33種・亜種生息しており、特にシマドジョウやドジョウが身近な存在です。中には外来種も含まれています。

歴史的背景

ジュラ紀後期の約1.5億年前に他のコイ目と分かれたとされますが、化石記録は遅く見つかり、約3000万年前の種から記録が確認されています。このことは、洞窟内の水域に適応した進化を資する要因として、魚類の多様化に大きく影響しました。

文化的・経済的利用

ドジョウ上科の種は、食用魚としての需要が高く、特に東アジアでは重要な漁業資源です。また、観賞用としても人気があり、色彩豊かな個体や熱帯性の種は水槽での飼育に適しています。これらの魚は掃除屋（タンクメイト）とも見なされ、多くのアクアリストに愛されています。ドジョウ類やアユモドキ類はその特異な見た目と生態から、今後も研究対象として注目され続けることでしょう。

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