ドニ・ピュエッシュ

ドニ・ピュエッシュ（Denys Puech, 1854年12月3日 - 1942年12月9日）は、フランスの彫刻家であり、19世紀後半から20世紀初頭にかけて活躍しました。フランス南部の農家に生まれ、幼少期から芸術への関心を示していました。

生い立ちと修業

ピュエッシュは、アヴェロン県Bozoulsで生まれました。兄のルイ・ピュエッシュは、後に政治家・法律家として活躍し、アリスティード・ブリアン内閣で大臣を務めた人物です。ピュエッシュは、ロデーズで石彫職人フランソワ・マウーの工房で修行を始め、2年間技術を磨きました。その後、パリに出て、フランソワ・ジュフロワ、アレクサンドル・ファルギエール、アンリ・シャピュといった著名な彫刻家の指導を受け、エコール・デ・ボザールの夜間コースにも通いました。

ローマ賞と名声

ピュエッシュは、1881年と1883年にローマ賞の2位を受賞し、その才能が注目されるようになりました。そして、1884年にはローマ賞の1位を受賞し、フランスを代表する彫刻家としての地位を確立しました。

1900年のパリ万国博覧会では大賞を受賞し、政府からの依頼で多くの人物の記念碑の胸像を制作しました。これらの作品は、彼の優れた技術と芸術的感性を証明するものとして高く評価されています。また、1903年には故郷のロデーズに美術館（後にドニ・ピュエッシュ美術館）を設立し、1910年に開館しました。1905年には芸術アカデミーの会員に選出され、その名声は不動のものとなりました。

その後の活動

1921年から1933年まで、ピュエッシュは在ローマ・フランス・アカデミーの校長を務め、後進の育成にも尽力しました。彼は、レジオンドヌール勲章を1892年にシュヴァリエ、1898年にオフィシエ、1908年にコマンドゥールと、複数回にわたり受勲しています。これは、彼のフランス社会への貢献を物語るものです。

作品

ピュエッシュの作品は、古典的な美しさと写実性を兼ね備えたもので、肖像彫刻から記念碑、寓意的な作品まで多岐にわたります。彼は、人物の表情や感情を捉えることに長けており、その作品は、見る者に深い感動を与えます。作品は、フランス国内の美術館や公共の場に展示されており、現在でも多くの人々に愛されています。

まとめ

ドニ・ピュエッシュは、19世紀から20世紀初頭にかけてフランス彫刻界を牽引した一人であり、その作品は今日においても高く評価されています。彼の生み出した作品は、後世に大きな影響を与え、フランス美術史にその名を刻んでいます。

参考文献

Guillaume Peigné, Dictionnaire des sculpteurs néo-baroques français (1870-1914), Paris, CTHS, coll. « Format no 71 », 2012
Henri Jaudon, Denys Puech et son Œuvre, Fb&c Limited, 1908, réédité en 2018

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