ドブガイ

ドブガイ（溝貝・土負貝・蚌）

ドブガイは、淡水に棲むイシガイ科の二枚貝です。日本を含む東アジア一帯に分布し、ヨーロッパなどにも帰化しています。主に川や沼の底の泥中に生息しています。

近年、遺伝子レベルでの分類研究が進み、ドブガイはタガイとヌマガイに分離されました。これらはどちらも淡水に生息し、水中のプランクトンなどを摂取することで水質浄化に貢献しています。

生態

ドブガイの殻長は通常10cm程度ですが、形態的な変異が大きく、20cmを超える個体も存在します。遺伝的、形態的に、大型になるヌマガイ Sinanodonta lauta（ドブガイA型）と、小型のタガイ S. japonica（ドブガイB型）の2種類に分類されます。

殻の色は緑色から黒色まで様々です。殻は薄く、乾燥させると自然にひび割れることが多いのが特徴です。ドブガイの仲間（タガイ、ヌマガイ、フネドブガイ、マルドブガイなど）は、擬主歯を全く持たないという特徴を共有しています。

グロキディウム幼生は、ヨシノボリなどの魚類に寄生して成長します。

一般的には泥臭く、食用としては敬遠されることが多いですが、霞ヶ浦など一部地域では「タンカイ（淡貝）」と呼ばれ食用とされています。三重県北勢地域では、かつて「ドウビン」と呼ばれていました。

他の生物との関係

タナゴ類は、ドブガイなどの淡水二枚貝を産卵母貝として利用し、エラに卵を産み付けます。ドブガイはタナゴの繁殖に重要な役割を果たしています。

鷸蚌の争い

戦国策の燕策には、「漁夫の利」という故事があります。これは、シギと蚌（二枚貝）が争っている隙に、漁夫が両方とも捕らえてしまうという話です。

この話に出てくる蚌が何の貝であるかについては諸説あり、ハマグリなどの海水貝とする説と、ドブガイやカラスガイなどの淡水貝とする説があります。

脚注

霞ヶ浦周辺ではドブガイを食用とする地域がある。
三重県北勢地域でのドブガイの呼称はドウビンであった。

参考文献

近藤高貴, 2008. 日本産イシガイ目貝類図譜. 日本貝類学会特別出版物第3号, v + 69 pp.

関連項目

阿部襄
池の水ぜんぶ抜く

外部リンク

イシガイ類図鑑（Wayback Machine、2016年10月19日）

もう一度検索