阿部襄

阿部襄（あべ のぼる）

阿部襄は、1907年に山形県で生まれた動物学者、生態学者です。山形大学の名誉教授であり、理学博士の学位を持っています。彼の研究は、潮間帯の生態から満州のドブガイ、サンゴ礁に至るまで、多岐にわたりました。

生涯

1907年、阿部襄は山形県飽海郡松山町で、阿部富太郎とゆきの長男として生まれました。彼の家系は学者や軍人を輩出しており、叔父には哲学者・美学者の阿部次郎、陸軍軍人・実業家の堀三也、動物学者の阿部余四男、日本史学者の竹岡勝也らがいます。旧制山形高等学校を経て、1931年に東北帝国大学理学部生物学科を卒業。1941年には、「潮間帯ならびに浅海にすむ数種の無脊椎動物に関する生態学的研究」で東北帝国大学から理学博士の学位を授与されました。その後、師道大学教授、山形県立農林専門学校教授、山形大学農学部教授を歴任しました。

研究活動

戦前には、日本学術振興会研究員として「パラオ熱帯生物研究所」に派遣され、サンゴなどの研究を行いました。戦時中は、満州産のドブガイに関する研究に従事し、その生態学的観察を行っています。終戦は吉林市で迎えました。戦後は、山形大学農学部応用動物学研究室の教授として教鞭を執り、山形大学名誉教授となりました。

人物

阿部襄の祖父は七郎右衛門、祖母はわかであり、「阿部記念館」には祖父母の写真が展示されています。彼の研究に対する情熱と、次世代への教育への貢献は、多くの人々に影響を与えました。

著書

『南洋紀行・珊瑚礁と貝』(1943年)
『吉林の終戦』(1970年)
『貝の科学』（改版）(1975年)

論文

「滿洲産ドブガヒの生態學的觀察」(1943年)
「綜合討論(生態・分類)」(1959年)
「笠貝の帰家習性について(生態・動物地理)」(1954年)

受賞

第12回（1965年）産経児童出版文化賞：「貝の科学」

所属学会

日本動物学会
* 日本生態学会

阿部襄は、日本の動物学、生態学の発展に大きく貢献した研究者であり、教育者でした。彼の業績は、後世に語り継がれています。

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