ドミトリユス・アルギルダイティス

ドミトリユス・アルギルダイティスの生涯

ドミトリユス・アルギルダイティス（Dmitrijus Algirdaitis、? - 1399年8月12日）は、リトアニア大公国の偉大な統治者アルギルダスと、彼の最初の妻であるヴィーツェプスク公女マリヤの二人の間に生まれた第二の息子です。彼はブリャンスク公として知られ、1356年から1379年、そして1388年から1399年の期間にわたり、この地域を統治しました。

早期の統治

1356年、父アルギルダスの命により、ドミトリユスはスモレンスク公国から奪取されたトルブチェフスクとスタロドゥーブを含むブリャンスク公国を与えられます。ブリャンスクはリトアニア大公国の北西端に位置し、モスクワ大公国と隣接していたため、ドミトリユスの統治下では国境の防衛が重要な課題となりました。

1370年、モスクワ大公ドミトリー・ドンスコイはブリャンスク公国を占領しようと試みましたが、失敗に終わりました。1372年には、ドミトリユスは父アルギルダスとドミトリー・ドンスコイとの間で交わされたリュブツク条約の証人ともなります。この条約は、リトアニアとモスクワとの間の緊張関係の一端を示すものでした。

内部の対立

1377年に父が死去すると、ドミトリユスは大公位の後継者として指名された異母弟ヨガイラを支持しないことを選びます。彼は自らも大公位を志し、同母兄のポラツク公アンドリュスを応援することとなります。アンドリュスは彼自身が大公位の正当な継承者であると信じており、ポラツク、プスコフ共和国、リヴォニア騎士団、さらにはモスクワ大公国といった反リトアニア同盟を結成し、ヨガイラに対抗しました。

ドミトリユスはこの同盟内で消極的な役割しか果たさず、1379年にモスクワ軍が自らの領地を占領した際にも徹底した反抗はしませんでした。彼はモスクワ軍の撤退に従い彼らと共にモスクワに移り住むことに決め、その後、ドミトリー・ドンスコイからペレスラヴリ・ザレスキーという領地を与えられます。

戦争と和解

1380年、ドミトリユスはロシアとジョチ・ウルスとのクリコヴォの戦いにおいて、ロシア側の旗手として戦いました。ロシアの年代記には、彼と兄アンドリュスがこの戦いで示した知恵が称賛されていることが記されています。

1388年、アンドリュスが敵軍に捕えられ、ポーランドの監獄に入れられると、ドミトリユスはポーランドの王となったヨガイラとの和解を選びました。その結果、かつての故郷ブリャンスクに戻ることができました。

最後の戦い

しかし、ドミトリユスの生涯は1399年、ジョチ・ウルスとのヴォルスクラ川の戦いで悲劇的に幕を閉じることとなります。この戦いで彼は戦死し、リトアニアの歴史において重要な役割を果たしました。

彼の息子ミカイラス（Michał Trubecki）は後にトルベツコイ家を創設し、ドミトリユスの名はその子孫を通じて語り継がれていきます。ドミトリユス・アルギルダイティスの生涯は、リトアニア大公国の歴史における波乱万丈な政治情勢と戦争の激化を物語るものであり、彼の功績は今なお記憶され続けています。

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