スタロドゥーブ

スタロドゥーブ：歴史と文化が交差するロシアの古都

スタロドゥーブは、ロシア連邦ブリャンスク州に位置する人口約2万人の町です。ドニエプル川の支流、バビネツ川沿いに位置し、その名は「古いオーク」を意味します。地理的にはロシア、ウクライナ、ベラルーシの国境付近に位置し、歴史的に様々な文化の影響を受けてきました。

歴史

スタロドゥーブの歴史は9世紀に遡り、年代記にはチェルニーヒウ公国の都市として登場します。12世紀から13世紀初頭には、スタロドゥーブ公国の中心都市として繁栄しました。しかし、1239年にはモンゴル帝国の侵攻により焼き払われ、その後はリトアニア大公国、モスクワ大公国、ポーランド・リトアニア共和国の支配下を転々としました。

17世紀には、ウクライナ・コサックの首領ボフダン・フメリニツキーが率いた大反乱（フメリニツキーの蜂起）において、スタロドゥーブ・ポールク（コサック連隊）の中心都市となり、一時的に大幅な自治を謳歌しました。18世紀には、左岸ウクライナに存在したヘーチマン国家の最北端に位置し、その後のロシア帝国への併合を経て、チェルニゴフ県に編入されました。20世紀初頭にはウクライナ人民共和国に属しましたが、その後ソヴィエト・ロシアの支配下に入り、ソ連時代には様々な行政区画に属しました。第二次世界大戦中にはドイツ軍に占領されましたが、戦後にブリャンスク州の一部として再編され、現在に至ります。

文化と建築

スタロドゥーブは、17世紀から18世紀にかけてヘーチマン国家の中心地の一つであったため、コサック・バロック（ウクライナ・バロック）様式の建築が数多く残っています。この様式は、ウクライナ独自のバロック建築であり、ロシア国内でその正統的な建物を見ることができる数少ない場所の一つです。

代表的な建築物としては、1617年に完成し、1677年の大火後に修復された救世主降誕聖堂があります。この聖堂は、コサック・バロック様式の典型的な作例として知られています。その他にも、1789年に建立された神現聖堂や、1802年建設の新古典主義建築である聖ニコライ聖堂など、様々な時代の建築物を見ることができます。

現代のスタロドゥーブ

現代のスタロドゥーブは、ブリャンスク州の地方都市として、その歴史と文化を大切に守りながら発展を続けています。近年は観光にも力を入れており、歴史的な建築物や文化遺産を巡るツアーなどが企画されています。

スタロドゥーブは、その長い歴史の中で様々な国家や文化の影響を受けながら、独自の文化を育んできました。コサック・バロック様式の建築物は、その歴史を物語る貴重な遺産であり、訪れる人々を魅了しています。ロシアを訪れる際には、ぜひスタロドゥーブに足を運び、その歴史と文化に触れてみてください。

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