ドミニク・シャピュイ

ドミニク・シャピュイは、1948年に生まれ、2001年11月4日にパリで亡くなったフランスの撮影監督です。彼のキャリアは、1971年にジャック・リヴェット監督の超大作『アウトワン』で、撮影監督ピエール＝ウィリアム・グレンの助手として始まった。この経験は、彼の映画製作に対する情熱を確固たるものとしました。

1975年、ジェローム・サヴァリ監督の『La Fille du garde-barrière（門番の娘）』で撮影監督に抜擢されますが、その後もリヴェット監督の作品に撮影助手として参加し、ウィリアム・リュプチャンスキーの元で研鑽を積みました。この時期には、リヴェット監督の長尺作品のほか、ジャン＝リュック・ゴダールとアンヌ＝マリー・ミエヴィルの前衛的なドキュメンタリービデオ作品にも携わりました。特に、ゴダールのドキュメンタリーで培った技術は、後の彼の作品に大きな影響を与えています。

シャピュイの才能が広く知られるようになったのは、クロード・ランズマン監督の9時間半に及ぶドキュメンタリー大作『SHOAH ショア』（1985年）です。彼はランズマンの映像を支え続け、2001年の突然の死までその献身は続きました。また、ユーザン・パルシー監督の『マルチニックの少年』（1983年）の成功を機に、ナタリー・ドロン、ジョジアーヌ・バラスコ、ブリジット・ロユアンなど、多くの女性監督の作品を手がけました。

さらに、フランソワ・トリュフォー監督の『アメリカの夜』（1973年）では撮影助手として参加。その後、同作の製作主任だったクロード・ミレール監督の『なまいきシャルロット』（1985年）と『小さな泥棒』（1988年）で撮影監督を務めるなど、幅広いジャンルで才能を発揮しました。シャピュイは、国境を越えて様々な国の映画製作に携わった国際的なカメラマンでもありました。アメリカ、ジャマイカ、スペイン、ポルトガル、マルティニークなど、多様な文化を持つ作品で、その卓越した技術を発揮しました。

2001年11月4日、癌により53歳で急逝。その死は、彼のキャリアがまさにピークに達しようとしていた時期であり、映画界にとって大きな損失でした。奇しくも、撮影監督ラウール・クタールの弟子であるクロード・ボーソレイユと同年齢での死でした。

シャピュイのフィルモグラフィーは、彼の多才さと国際的な活躍を物語っています。助手時代から撮影監督としてのキャリアまで、常に映画製作の最前線で活動し、多くの作品にその足跡を残しました。彼の参加作品は、単なる撮影技術だけでなく、作品のテーマや監督の意図を深く理解し、映像を通じて表現する彼の才能を示しています。

主な作品には、『アウトワン』、『アメリカの夜』、『SHOAH ショア』、『マルチニックの少年』、『なまいきシャルロット』、『小さな泥棒』などがあります。これらの作品は、彼の卓越した映像技術と映画に対する深い愛情を今に伝えています。

シャピュイの早すぎる死は映画界にとって大きな損失でしたが、彼の作品は今もなお多くの人々に愛され、その映像美は後世に語り継がれています。

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