ドミニク・モナミ

ベルギー・ヴェルヴィエ出身の元女子プロテニス選手、ドミニク・モナミ（Dominique Monami）は、1973年 5月31日に生まれました。右利きで、バックハンドストロークは両手打ちを特徴としています。現役時代の途中、コーチであったバート・ファン・ルースト氏と結婚していた1995年から2003年の離婚まで、ドミニク・ファン・ルースト（Dominique Van Roost）としてプレーしていました。

来歴

9歳でテニスを始め、18歳となった1991年6月にプロへと転向しました。同年には早くも全米オープンでグランドスラムの舞台に立ち、デビュー戦ながら3回戦まで進出。強豪ヤナ・ノボトナ選手と対戦するなど、その才能の片鱗を見せました。続く1992年の全豪オープンでも4回戦に進出し、プロ入りから半年足らずでシングルスランキングを100位圏内に入れるなど、順調なスタートを切りました。しかし、その後はランキングが伸び悩み、しばらく低迷期を経験します。

転機の一つとなったのは、1997年の全豪オープンです。当時世界ランキング43位だったモナミ（この時はファン・ルースト姓）は、第2シードの強豪アランチャ・サンチェス・ビカリオ選手を3回戦で破るという大きな番狂わせを演じました。この勢いに乗り、自身初のグランドスラム準々決勝に進出しましたが、メアリー・ジョー・フェルナンデス選手との試合を途中棄権せざるを得ませんでした。

特に1998年は、彼女のキャリアにおいて最も輝かしい年となります。10月にはドイツで開催されたポルシェ・テニス・グランプリの準々決勝で、当時世界ランキング1位のマルチナ・ヒンギス選手と対戦。フルセットの激闘の末にこれを破る金星を挙げ、ヒンギス選手の世界ランク1位からの陥落に繋がる一戦となりました。この勝利を含む活躍により、彼女のシングルス世界ランキングは自己最高の9位に到達。これはベルギー人女子選手として史上初のシングルス世界ランキングトップ10入りという、歴史的な快挙となりました。その功績が認められ、同年の『ベルギースポーツマンオブザイヤー』を受賞しています。

1999年の全豪オープンでは、2年ぶりに準々決勝に進出しましたが、アメリ・モレスモ選手に敗れ、準決勝進出は叶いませんでした。この頃、後にベルギー女子テニス界を牽引することになるジュスティーヌ・エナン選手やキム・クライシュテルス選手といった後輩たちがプロ入りします。1999年9月のルクセンブルクの大会決勝では、当時16歳のクライシュテルス選手と対戦し敗北。皮肉にもクライシュテルス選手のプロ初優勝の相手となりましたが、翌2000年の全豪オープン1回戦では勝利しており、クライシュテルス選手との通算成績は1勝1敗です（エナン選手との対戦はありませんでした）。

キャリアの集大成とも言える活躍を見せたのが、2000年のシドニーオリンピックです。ベルギー代表として出場し、エルス・カレンズ選手と組んだ女子ダブルスで銅メダルを獲得。これはベルギーテニス界にとって重要なメダル獲得となりました。シングルスでもベスト8に進出し、準々決勝でモニカ・セレシュ選手に敗れましたが、オリンピックという大舞台で存在感を示しました。オリンピック後、いくつかの大会に出場した後、同年10月にスイスで行われたヨーロッパ室内選手権を最後に、27歳で現役生活に終止符を打ちました。

現役引退後は、2001年に女児を出産しました。2003年の離婚を経て、再び旧姓のドミニク・モナミとして活動しています。引退後もテニス界との関わりは深く、メンタルコーチやトレーナー、WTAツアー大会のディレクターなど様々な役職を歴任。また、メディアではプレゼンターとしても活動するなど、多方面で活躍しました。2016年9月からは、ベルギーの女子国別対抗戦であるフェドカップ（現在のビリー・ジーン・キング・カップ）の代表コーチを務め、2017年大会までチームを率いました。

WTAツアーでは、シングルスで16度の決勝進出を果たし4勝、ダブルスでは9度の決勝進出で4勝を挙げるなど、輝かしい成績を残しました。特に1998年の世界ランキング9位という記録は、ベルギー女子テニス史における先駆的な功績として記憶されています。

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