ヴェルヴィエ

ベルギー南東部のワロン地域、リエージュ州に位置するヴェルヴィエは、州都リエージュとドイツ国境のほぼ中間地点に広がる都市です。リエージュ州内では人口規模で3番目に数えられ、ワロン地域圏では「水の都」という愛称で親しまれています。街の歴史は古く、特に織物産業で繁栄を遂げた過去があります。

歴史

ヴェルヴィエの歴史は非常に古く、古代ローマ時代の硬貨や様々な種類の火打ち石、骨の破片などが発見されたことから、かなり早い時期から人類がこの地に定住していたと考えられています。4世紀になると、ローマ人は東方から圧力をかけてくるゲルマン系部族との関係を築く必要に迫られました。当初は彼らの動きを抑えることに成功していましたが、5世紀後半にクローヴィス1世率いるフランク王国がこの地域を支配下に置くと、ローマ人はその権威を受け入れざるを得なくなりました。当時のヴェルヴィエ周辺は広大な森林に覆われ、メロヴィング朝の王たちの狩猟地として利用されました。スタヴロ修道院の聖職者たちによって、この地域はゆっくりとキリスト教化されていきました。

10世紀、西フランク王シャルル3世は、後のリエージュ司教領の基礎となるフランシモン侯領において、世俗君主としての権威をリエージュ司教に認めました。1014年にはリエージュが侯国の直接統治下に入り、この権限は1155年に神聖ローマ皇帝フリードリヒ1世とローマ教皇ハドリアヌス4世によって正式に承認されました。

この地域で織物産業が行われていた記録は15世紀に遡ります。1世紀後には、近隣で勃発した八十年戦争の影響もあり、かつて主要だった冶金業に代わり、服飾産業が町の中心を占めるようになりました。しかし、町の規模は長い間比較的小さなままでした。1651年頃には、織物の仕上げ工程に従事する職人が増加した結果、ヴェルヴィエはリエージュ司教領内で重要な都市の一つと見なされるようになりました。

18世紀後半、ヴェルヴィエはフランス革命の大きな影響を受けることになります。1795年にリエージュがフランスに併合されると、経済は大きく低迷し、これまでにない困難な時期を迎えました。しかし、1815年のワーテルローの戦いを経て、ヴェルヴィエの運勢は再び好転します。ワロン工業地帯の東端に位置していたヴェルヴィエでは、英国出身の起業家ウィリアム・コッカリルが、先進的な英国の技術を導入し、織物産業に新たな時代をもたらしました。道路は舗装され、ガス灯が設置されるなど都市基盤が整備され、産業革命の波に乗り、町の規模は倍増しました。第一次世界大戦後、ヴェルヴィエは英国のブラッドフォードと並び称され、「世界の毛織物の首都」としての地位を確立しました。

現代においては、2021年7月に発生した集中豪雨により、市内を流れる河川の氾濫による大規模な水害に見舞われました。

経済

ヴェルヴィエは、高品質な毛糸生産と織物産業の中心地として古くから知られてきました。これにより、町は大きな繁栄を享受しました。しかし、1950年代以降、国際競争の激化に直面した多くの工場が閉鎖に追い込まれ、町の経済は下降線をたどることになります。1990年代半ば以降、経済は緩やかな回復を見せていますが、かつてのような力強い状態には至っていません。中心市街地の活性化を図るため、近年いくつかの商業施設が開設されています。

主な施設と見どころ

市内にはいくつかの博物館があり、中でも「毛織物服飾観光センター」は、かつての工場を利用しており、新古典主義様式の美しいファサードを持つ建物です。また、19世紀後半に建設された「グラン・テアトル」は「ラ・ボンボニエール」の愛称で親しまれており、同じく新古典主義建築の壮麗な姿を見せます。その他、「グラン・ポスト（中央郵便局）」の建物はゴシック・リヴァイヴァル様式で建てられています。

ヴェルヴィエは「水の都」の名にふさわしく、市内の随所に多くの噴水や、散策を楽しむことができる小道が存在します。これらの噴水の一つには、初代市長ピエール・ダビド（在任期間：1798年 - 1839年）の心臓にまつわる興味深い伝説があります。ダビドが急死した際、当局はその心臓を保管することを決めました。当初は市庁舎に安置されていましたが、1880年代に移されることになり、小箱に納められて市内のある噴水の中に密かに隠されたと言われています。現在、この心臓は市内のビジュアルアート美術館に展示されており、実際に目にすることができます。

ヴェルヴィエ出身の著名人

アンリ・ヴュータン（作曲家、ヴァイオリニスト）
ギョーム・ルクー（作曲家）
アンリ・ピレンヌ（歴史家）
マルク・デュエツ（レーシングドライバー、ラリードライバー）
ドミニク・モナミ（元プロテニス選手）
フィリップ・ジルベール（自転車ロードレース選手）
ベルトラン・バゲット（レーシングドライバー）

姉妹都市

フランス: アルル
ドイツ: メンヒェングラートバッハ
フランス: ルーベ
イギリス: ブラッドフォード
フランス: ラ・モット＝シャランコン

もう一度検索