ドミニク・レニエ

ドミニク・レニエについて

ドミニク・レニエ（Dominique Reynié）は、1960年6月17日生まれのフランスの政治学者です。パリ政治学院（シャンスポ）の教授として、政治学、特にフランスとヨーロッパにおける政治権力、世論、選挙運動の変容に関する研究を行っています。彼はまた、政治改革基金（Fondation pour l'innovation politique）のゼネラルディレクターも務めています。

学歴と職歴

レニエはパリ政治学院で政治学の博士号を取得しました。同学院では、地方分権観測院（Observatoire interrégional du politique）の統括（2002-2005年）やマーケティング専攻博士課程の統括（1999-2006年）も務めました。さらに、DESS研究およびマーケティング戦略のディレクターも兼任しています。欧州委員会が主催する「ザ・フューチャー・オヴ・ユーロップ」プログラムでは、コミュニケーション・ディレクションの研修を受けています。また、全国人権諮問委員会（CNCDH）や、フランス元老院が設置する元老院非集権化観測院のメンバーでもあります。

メディア出演と政治活動

レニエは、フランスのテレビ局フランス5のジャーナリスト、イヴ・カルヴィが司会を務める番組『セー・ダン・レール』（C dans l'air）に頻繁に出演しています。2008年10月には、フランク・デビエの後任として政治改革基金のゼネラルディレクターに就任しました。この基金は、国民運動連合が2004年4月に設立したものです。また、2010年公開のジャン＝リュック・ゴダールの映画『ゴダール・ソシアリスム』にも出演しています。

研究分野と著作

レニエの研究は、世論、選挙行動、政治コミュニケーション、そしてヨーロッパ統合といった多岐にわたります。彼は、政治と世論の関係、特に世論形成におけるメディアの影響や選挙キャンペーンの役割について深く掘り下げています。

彼の著作は多数に及び、その一部を以下に示します。

著書
『国家理性の力』（Le Pouvoir de la raison d’État、1992年、共著）
『国家理性：政治と合理性』（La Raison d’État : politique et rationalité、1992年、共著）
『リブレール、肉体と魂』（Libraires corps et âmes、1994年）
『不確かな投票』（Le Vote incertain. Les élections régionales de mars 1998、1998年、共著）
『世論の勝利』（Le Triomphe de l’opinion publique、1998年）
『利害の政治』（Politiques de l'intérêt、1998年、共著）
『投票の辞書』（Le Dictionnaire du vote、2001年、共著）
『西洋の亀裂』（La Fracture occidentale、2004年）
『社会ナショナリズムの眩暈』（Le Vertige social-nationaliste. La gauche du non、2005年）
『2004年欧州議会選挙』（Les Élections européennes de juin 2004、2005年、共著）
『極左は死に体か、それとも再生するのか？』（L’extrême gauche, moribonde ou renaissante ?、2007年）
『欧州の世論』（L’Opinion européenne、2000年以降、毎年発行）

掲載論文

レニエは、多数の論文も発表しており、その一部を以下に示します。

「2008年の欧州世論。グローバリゼーションにおける連合の役割が欧州人の支持を左右する」（2009年）
「ヨーロッパ人はしびれを切らしている」（2009年）
「ヨーロッパにおける選挙勢力：1996-2008年」（2009年）
「世論とヨーロッパの危機」（2009年）
「欧州憲法条約に関する国民投票」（2008年）
「危機は起こらなかった。大学自治法への反対の失敗」（2008年）
「国家懐疑主義の到来。グローバリゼーションにおけるヨーロッパ人」（2008年）
「ヨーロッパにおける選挙勢力：1996-2007年」（2008年）
「有機的な世論。オーギュスト・コントと世論の真の理論」（2007年）
「純粋な左翼」（2007年）
「数字で見る大統領選挙」（2007年）
「ヨーロッパにおける選挙勢力の変遷 1996-2006」（2007年）
「ヨーロッパにおける選挙勢力：27か国における10年の国政選挙」（2006年）
「フランスは反リベラルなのか？」（2006年）
「比例代表制のリスクを伴う政治。比例配分の適用：1988-2004」（2006年）
「ハイパーセンターの揺れ動く輪郭：1981年以降のフランスにおける中道回帰と極端な投票」（2006年）
「『欧州世論』という考え方」（2005年）
「大陸の漂流？ヨーロッパ人はアメリカの政策を評価する」（2005年）
「地方の事実のバロメーター」（2004年）
「欧州世論。社会学のスケッチ」（2004年）
「4月21日のフランスを統治する」（2004年）
「民主主義的な公共秩序としての世論」（2003年）
「服従の民主主義危機」（2003年）
「2002年の拡大に直面するフランス人：支持の欠陥」（2003年）
「新たな息吹を探る世論理論」、「世論：アングロサクソン的視点」（2002年）
「選挙抑うつ状態のフランス」（2002年）
「貨幣による2002年のヨーロッパ革命」（2002年）
「2001年9月11日の危機に直面する世論」（2002年）
「シラク（ジャック）」、「コンドルセ（パラドックス）」、「ドージェ（選挙）」、「1958年以降のフランスの議会選挙」、「フランスの極左」、「女性（選挙権の獲得）」、「ジョスパン（リオネル）」、「マキャベリ（ニコロ）」、「多数派」、「世論」、「選挙参加」、「第二帝政」（『投票の辞書』より）
「ヨーロッパ統合：大義を動員するという神話」（2001年）
「ユーロに直面するヨーロッパ人（2000年12月）」（2001年）
「大衆の懐疑主義とエリートの熱意？ユーロに直面するフランス人」（2001年）
「市民と船乗り」（2000年）
「選挙動員と世論動員」（1999年）
「『鏡を通して』。欧州連合加盟国の世論による欧州統合とその発展の認識」（1999年）
「ユーロバロメーターと政治学研究」（1999年）
「国家理性から民主政治へ：マキャベリとボテロによる世論の統治」（1999年）
「国家理性、政治学の系譜からの視点」（1998年）
「フランスの政党」（1998年）
「世論の民主主義へ？」（1996年）
「世論」（1996年）
「メディア、権力、政治」（1996年）
「見通しにおける政治学」（1996年）
「寄付の盗用。汚染された血液事件と寄付の危機」（1994年）
「人々の都市と物事の偏見」（1993年）
「大衆か群衆か？タルド/ル・ボン対立」（1993年）
「形而上学的地平線。亡命のための自殺」（1992年）
「仕事としての政治。1983年から1991年までのフランスの政治書」（1992年）
「世論調査と民主主義」（1992年）
「哲学は何の役に立つのか？」（1992年、討論）
「『国家理性』の概念」（1992年）
「主権的な眼差し。16世紀から18世紀の社会統計と国家理性」（1992年）
「ジョルジュ・ラヴォーへのオマージュ」（1991年）
「マスコミと民主主義」（1991年）
「近代政治における数」（1989年）
「ガブリエル・タルド、世論の理論家」（1989年）
「ギュスターヴ・ル・ボンと民主主義の不幸の宿命」（1989年）
「数の理論」（1988年）
「数の意見と非合理性：フランスの社会科学と大衆の問題」（1987年）
「政治学は道徳なしにやっていけるのか？」（1986年）
「世論と政治エリート」（1985年）

紀要論文等

「政治学におけるエラスムス」（1996年）
「地方分権：地方選出議員の疑念」（2007年）
「ユーロバロメーター67. 欧州連合における世論」（2007年）
「ユーロバロメーター68. 欧州連合における世論」（2007年）
「ユーロバロメーター69. 欧州連合における世論」（2008年）

翻訳

レニエは、以下の翻訳も手掛けています。

ミシェル・フーコーの講演（スペイン語からフランス語へ、1994年）
「羨望と商業社会」（英語からフランス語へ、共訳）
「ヨーロッパの労働組合協力」（英語からフランス語へ、共訳）
「世論調査と民主主義」（英語からフランス語へ）
「討議型民主主義へ。理想の実験」（英語からフランス語へ）

フィルモグラフィー

『ゴダール・ソシアリスム』（2010年、出演）

関連事項

イヴ・カルヴィ
フランク・デビエ

外部リンク

Quentin Grosset - IMDb（英語）
政治改革基金のウェブサイト（仏語）
* ドミニク・レニエの公式ブログ（仏語）

ドミニク・レニエは、政治学の分野で重要な貢献をしており、彼の研究は、世論、選挙、そしてヨーロッパの政治に関する理解を深める上で不可欠です。

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