ドラゴンフルーツ

ドラゴンフルーツ（ピタヤ）とは

ドラゴンフルーツ、別名ピタヤは、サボテン科ヒモサボテン属の植物の果実です。その特徴的な赤い果皮と、果肉に散らばる黒い種子が目を引きます。原産地は中南米ですが、現在では東南アジアなどでも広く栽培されています。日本では主に「ドラゴンフルーツ」という名前で流通していますが、本来ピタヤはサンカクサボテン類の果実の総称です。

名称の由来

「ピタヤ」という名前は、アンティル諸島の言語で「鱗のある果物」を意味します。スペイン語では「pitahaya」と表記され、発音は「ピタジャ」または「ピタヤ」に近くなります。ベトナム語では「タイン・ロン（thanh long）」、つまり「緑の竜」と呼ばれ、これは熟す前の実が緑色で、果実表面が竜の鱗に似ていることに由来します。中国語名は「火竜果」です。日本では、果皮が黄色のものを区別して「イエローピタヤ」と呼ぶこともあります。

植物としての特徴

ヒモサボテン属の植物は、アメリカ南西部から南米にかけて分布しています。食用となる野生種は、メキシコの亜熱帯高地や海岸地域に多く見られます。先コロンブス期から栽培されていましたが、商業栽培は19世紀後半に始まりました。ベトナムへはフランス人によって持ち込まれ、100年以上の栽培の歴史があります。

クジャクサボテンや月下美人など、外観が似たサボテンがありますが、これらはクジャクサボテン属に分類されます。ヒモサボテン属とクジャクサボテン属は近縁種であるため、花や果実が似ています。

果実の特徴

果実はアボカド程度の大きさで、表面には緑色の突起物があります。果皮の色は、鮮やかな赤色が一般的ですが、黄色いものもあります。果肉は白色のゼリー状で、黒い種子が散らばっています。果肉の色は、白色、黄色、赤色、紫色、桃色などがあり、それぞれホワイトピタヤ、イエローピタヤ、レッドピタヤなどと呼ばれています。豊富な果汁を含み、種子ごと食べられます。食感はキウイフルーツに似ています。

利用

日本では主に果肉を食用としますが、原産国では花や葉肉も食べられています。味は、南国フルーツのイメージとは異なり、薄味であることが多いです。ホワイトピタヤはほのかな甘味と酸味があり、レッドピタヤはわずかに甘みが強く、イエローピタヤは甘くさっぱりしています。ピンクピタヤは最も甘みが強く、ゴールデンドラゴンは薄味、ミニドラゴンはホワイトピタヤに近い味です。果皮も火を通すと食べられます。

栄養価

ドラゴンフルーツには、アルブミン、アントシアニン、ブドウ糖、リン酸、ポリフェノール、食物繊維、カロチン、カルシウム、鉄、ビタミンB1・B2、ナイアシン、ビタミンCなどが含まれています。特に赤肉種の色素は、天然色素として染料や口紅に使われます。

生産地と流通

主な産地は、メキシコ、エクアドルなどの中南米、ベトナム、マレーシアなどの東南アジアです。近年は、オーストラリア、スペイン、アメリカ南部、日本でも栽培されています。日本で流通しているものは輸入品が多く、未熟な状態で収穫されるため、甘みが少ないものが多いです。国内では、沖縄県や九州を中心に栽培が広がり、完熟に近い甘いものが手に入るようになってきました。

園芸植物としてのドラゴンフルーツ

日本では、園芸用としても人気が高まっています。苗木は「ドラゴンフルーツ」という名前で流通することが多いです。森林性のサボテンで、寒さに弱い点を除けば、比較的簡単に栽培できます。霜に弱いため、冬は室内に取り込む必要があります。支柱を立て、枝を誘引して栽培します。種子からでも容易に苗を育てることができます。

品種

多くの品種が存在し、白肉種、赤肉種、黄皮白肉種、桃肉種などがあります。

白肉種: ホワイトピタヤとして販売され、最も生産量が多い。
赤肉種: レッドピタヤとして販売され、白肉種よりやや甘い。
黄皮白肉種: ゴールデンドラゴン、イエローピタヤとして販売。ゴールデンドラゴンはニュージーランド産、イエローピタヤはコロンビア産が多い。
桃肉種: ピンクドラゴンとして販売され、日本国内や海外で交配された品種がある。
* 橙色皮種: オレンジドラゴンとして栽培されているが、まだ選抜された安定した品種は少ない。

ミニドラゴンフルーツ

ミニドラゴンフルーツは、矮性品種として販売されていますが、実際には別属のサボテンです。成長しても小さく、狭い場所でも栽培できます。果実も食べられます。

生態

ピタヤは森林性の半着生サボテンであり、CAM型光合成植物です。高温多湿な環境に適応しており、乾燥帯のサボテンよりもCAM性が高いことがわかっています。研究が進むにつれ、栽培に適した環境が明らかになってきています。

まとめ

ドラゴンフルーツは、その独特な外観と栄養価の高さから、世界中で人気を集めている果物です。日本でも栽培が広がり、身近な存在になりつつあります。多様な品種があるため、様々な味や色を楽しむことができます。

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