ドリモグだァ!!

『ドリモグだァ!!』：モグラ兄弟の世界を股にかけた冒険

1986年10月15日から1987年10月8日まで、日本テレビ系列で放送されたテレビアニメ『ドリモグだァ!!』。ジャパコン・マートと萬年社の共同製作による全49話の物語は、モグラの兄弟、ドリモグとハナモグ、そして彼らの仲間たちの、世界を舞台にした壮大な冒険を描いています。

このアニメの特徴として、作詞家、脚本家としても著名な川内康範氏が制作に深く関わっていた点が挙げられます。主題歌の作詞・作曲のみならず、作品全体の監修から脚本まで幅広く担当しており、川内氏の作家性と世界観が色濃く反映された作品となっています。

物語は大きく二部構成で展開されます。第一部（第1話～第23話）は9世紀頃のフランスからドイツにかけてを舞台とし、フランク王国のカール大帝をはじめとする歴史上の人物が登場する、歴史ロマンあふれる冒険が描かれています。

第二部（第24話～第49話）は舞台を300年後のシルクロード周辺の中近東に移し、ドリモグたちが生まれ故郷である日本を目指す旅を描いています。実は、第二部のラストから400年後、戦国時代の日本を舞台にした第三部も企画されていたそうですが、残念ながら実現には至りませんでした。

放送時間に関しては、当初は日本テレビ系列の全国ネット枠である水曜19時～19時30分枠で放送されていましたが、同時間帯にフジテレビで放送されていた人気アニメ『ドラゴンボール』との競合を避けるため、第10話まででこの枠から撤退することとなりました。

その後、第11話以降の放送はネット局ごとに異なり、日本テレビでは木曜17時30分枠での放送となりました。放送時間変更に伴い、オープニングタイトルにドリモグ役の藤田淑子による「ドリモグだァ!!」のタイトルコールが追加されるなど、番組構成にも変化が見られました。

興味深い点として、後番組である『がんばれ!キッカーズ』との番組広報における共演や、「4　日本テレビ」の版権表示が明記されているなど、両番組の関連性も垣間見えます。

キャストには、ドリモグ役に藤田淑子、ハナモグ役に三浦雅子、そしてロナルド役に堀内賢雄など、当時の人気声優陣が名を連ねています。さらに、カール大帝役を滝口順平が演じている点も見どころの一つです。ナレーションは喜多川拓郎が担当。

スタッフ陣も豪華で、原作・監修は川内康範氏、音楽は乃木五郎氏、音響監督は田中英行氏など、ベテランスタッフが多数参加。緻密な美術設定やキャラクターデザイン、そして効果的な音響演出など、各方面から高いクオリティが保たれた作品となっています。

主題歌も魅力の一つです。オープニングテーマ「ドリモグ・ロード」は、映画『大脱走』のテーマ曲「大脱走マーチ」を彷彿とさせる旋律が特徴的です。エンディングテーマ「ドリモグだァ!!」は、ドリモグ役の藤田淑子が歌唱しています。

放送局は日本テレビを筆頭に、多くの系列局で放送されましたが、一部のクロスネット局では放送が打ち切られたり、放送時期が変更されたりした局もありました。放送終了後も、関連書籍が多数出版され、作品の人気を伺い知ることができます。

『ドリモグだァ!!』は、歴史を題材にした壮大な冒険と、個性豊かなキャラクター、そして豪華なスタッフ陣が作り上げた、忘れ難いアニメ作品として、多くの視聴者の記憶に刻まれていることでしょう。放送時間枠の変更や、未完に終わった第三部など、制作背景にも興味深いエピソードが数多く存在します。これらのエピソードを含めて、『ドリモグだァ!!』は日本のアニメ史において、独特の地位を築いた作品と言えるでしょう。

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