ドルゴルーコフ家

ドルゴルーコフ家、またはドルゴルーキー家は、ロシアの歴史において重要な役割を果たした貴族の家系です。リューリク朝の流れを汲み、公（クニャージ）の称号を代々受け継いできました。本家筋にあたるオボレンスキー家と同様、チェルニゴフ公家出身のキエフ大公ミハイル2世を祖とします。ミハイル2世は1246年にモンゴル帝国によって殺害されました。

ドルゴルーコフ家の名前は、一族の始祖の異名である「ドルゴルーキー」に由来します。これはロシア語で「長い腕」という意味を持ちますが、ユーリー・ドルゴルーキーの直系の子孫ではありません。

ドルゴルーコフ家からは、数多くの著名人が輩出されました。以下にその一部を紹介します。

マリヤ・ウラジーミロヴナ・ドルゴルーコヴァ：ミハイル・ロマノフの最初の皇妃（ツァリーツァ）となり、ロマノフ朝の確立に貢献しました。（1625年没）
ヴァシーリー・ウラジーミロヴィチ・ドルゴルーコフ：元帥として軍事面で活躍しました。（1667年‐1746年）
ヴァシーリー・ルキーチ・ドルゴルーコフ：外交官および大臣として、ロシアの政治を支えました。（1672年‐1739年）
イヴァン・アレクセーエヴィチ・ドルゴルーコフ：ピョートル2世の寵臣として知られています。エカチェリーナの兄。（1708年‐1739年）
エカチェリーナ・アレクセーエヴナ・ドルゴルーコヴァ：ピョートル2世の婚約者となりました。（1712年‐1747年）
エレナ・パヴロヴナ・ドルゴルーコヴァ：博物学者として科学の発展に貢献し、ブラヴァツキー夫人とセルゲイ・ウィッテの祖母でもあります。（1790年‐1860年）
ドミトリー・イヴァノヴィチ・ドルゴルーコフ：外交官として国際関係に携わりました。（1797年‐1867年）
ヴァシーリー・アンドレエヴィチ・ドルゴルーコフ：陸軍大臣として軍政を担いました。（1804年‐1868年）
ピョートル・ウラジーミロヴィチ・ドルゴルーコフ：歴史家としてロシアの歴史研究に貢献しました。（1816年‐1868年）
ウラジーミル・ドルゴルーコフ：モスクワ市長を1865年から1891年まで務め、都市の発展に尽力しました。
エカチェリーナ・ミハイロヴナ・ドルゴルーコヴァ：アレクサンドル2世との貴賤結婚により、歴史に名を残しました。（1847年‐1922年）
パーヴェル・ドミトリエヴィチ・ドルゴルーコフ：自由主義者・政治家として、ロシアの政治改革を訴えました。（1866年‐1927年）

ドルゴルーコフ家は、ロシアの政治、軍事、文化、科学など、様々な分野でその足跡を残しました。その影響力は、ロシアの歴史を語る上で欠かせないものとなっています。

（ロシア語） Долгоруков. Russian Biographic Lexicon

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