ドルフィン (レストラン)

ドルフィン：ユーミンの聖地、横浜の絶景レストラン

神奈川県横浜市中区に位置するレストラン「ドルフィン」は、シンガーソングライター松任谷由実（旧姓：荒井由実）の楽曲『海を見ていた午後』に登場することで広く知られています。ファンからは「ユーミンの聖地」として愛され、特別な場所となっています。

歴史

ドルフィンは1969年、絵物語作家の山川惣治によって開店されました。当初は山川の次男が経営の実質を担っていましたが、1982年の2階建てへの建て替えを機に、山川は経営から退きました。現在は金田総合グループが経営を引き継いでいます。

『海を見ていた午後』の歌詞では「山手のドルフィン」と歌われていますが、実際には最寄りの駅は根岸駅です。根岸森林公園へと続く不動坂を上りきった場所に位置しており、西洋館が立ち並ぶ山手の街並みからは少し離れています。横浜市営バスを利用する場合は、根岸駅、横浜駅、伊勢佐木町からは103系統の根岸台行き、桜木町駅、元町からは21系統の市電保存館行きに乗車し、「旭台」で下車してください。

ユーミンの聖地

開店から数年後、一人の女子高生が友人に誘われてドルフィンを訪れました。その少女はやがて、八王子から電車に乗って一人で通うようになり、ランチタイムから夕暮れ時まで店で過ごすようになりました。店内には山川惣治による冒険活劇のペン画が飾られており、美術大学を目指していた彼女の感性を刺激したと言われています。その少女こそ、後に日本の音楽シーンを代表するシンガーソングライターとなる荒井由実、後の松任谷由実です。

1974年にリリースされたアルバム『MISSLIM』に収録された『海を見ていた午後』で、荒井由実がこの店の情景を歌ったことから、ドルフィンは「ユーミンの聖地」として多くのファンが訪れるようになりました。歌詞にある「ソーダ水の中を貨物船が通る」というフレーズにちなんで、店では「ドルフィンソーダ」というメニューが考案されました。このソーダは、楽曲をイメージしたメロンソーダに、イルカを象ったオレンジが添えられたもので、曲の発表以前には存在しなかったメニューです。1980年代末期のバブル景気の頃には、週末の夜にドルフィンを目指す車で「ドルフィン渋滞」が発生することも珍しくありませんでした。

現在では、「ドルフィンソーダ」または楽曲をイメージしたカクテル「海を見ていた午後」を注文すると、店内のBGMとして『海を見ていた午後』が流れます。高台に位置するため、周囲にマンションが増えた現在でも、眼下にはコンビナート越しに根岸湾の景色が広がります。歌詞には「遠く三浦岬が見える」とありますが、晴れた日の午後には位置関係から房総半島を望むことができます。眼下の海にはカモメが舞い、貨物船がゆっくりと行き交う様子を眺めることができます。

参考文献

読売新聞日曜版 (2012年12月9日). “名言巡礼”. pp. 1-2.
読売新聞横浜支局 (1996年2月1日). うた 人 ヨコハマ. 230クラブ新聞社. ISBN 4-931353-21-5.

外部リンク

* ドルフィン (@dolphinyokohama) - X（旧Twitter）

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