ドルー家

ドルー家について

ドルー家（Maison de Dreux）は、フランスの王家カペー家の分支として知られ、ブルターニュ公国の統治を担った系統です。この一族は、ブルターニュ家（Maison de Bretagne）とも称され、その後ブルターニュ継承戦争によりその影響力を広げました。具体的には、フランス王ルイ6世の息子であるロベール1世がドルー伯に叙せられ、その血統により歴史が始まります。

しかし、この家系はロベール1世の孫の時点で二つに分かれました。兄のロベール3世はドルー伯を継承し、その系統は16世紀まで続きました。一方、弟のピエール1世はブルターニュ女公アリックス・ド・トゥアールと結婚し、ブルターニュ公国の支配権を手にしました。通常、ドルー家に言及する際には、このブルターニュ公の系統を示すことが多いです。

ブルターニュは、文字通りケルト系ブルトン人が住む地域であり、その文化や伝統は今も根強く残っています。それに伴い、ドルー家の君主も自己のアイデンティティをブルトン人と認識するようになりました。ブルターニュ公国は、百年戦争においても重要な役割を果たし、その戦乱の中で多くのドラマが展開されました。

ブルターニュ継承戦争

ブルターニュ継承戦争は、1341年に始まります。この年、ジャン3世が子を残さずに亡くなると、相続権を巡って大きな争いが起こりました。特に、ジャン3世の姪であるジャンヌ・ド・パンティエーヴルとその夫シャルル・ド・ブロワ、そしてジャン3世の異母弟ジャン・ド・モンフォール及びその息子により、熾烈な争いが繰り広げられました。この戦争は当時の百年戦争と密接に関わり、町と国の政治が絡み合う複雑な状況となりました。

フランス王フィリップ6世はシャルルを支持し、イングランド王エドワード3世はモンフォール父子の側について戦争は続きました。1364年にはオーレの戦いでシャルルが戦死し、翌1365年にはゲランド条約によってジャン4世が公位に就くことが認められました。この過程では、彼がフランス王に臣従することも求められました。

ジャン4世はその後、反乱を起こしイングランドに亡命しましたが、1380年に王が代わると和解し帰国しました。1392年には、腹心オリヴィエ・ド・クリッソンとのトラブルが発生し、これがブルターニュを失うきっかけとなりました。

百年戦争の影響とドルー家の役割

1399年、ジャン4世が亡くなると、息子のジャン5世が公位を引き継ぎました。この時期、イングランドはランカスター朝の時代を迎え、フランスとの戦争が激化しました。特に1415年のアジャンクールの戦いでは、ヘンリー5世がフランス軍を打ち破り、その結果として多くの貴族が捕虜となりました。ブルターニュ側でも、アルテュール・ド・リッシュモンが捕らえられ、イングランドに仕えることを強要されました。

その後、1422年にはヘンリー5世とシャルル6世が相次いで死去し、フランスはヘンリー6世とシャルル7世という二人の王を持つ異常な状況となりました。ジャン5世はシャルル7世に忠誠を誓いましたが、一時はエンギランド側へ付く決断もしました。

しかし、シャルル7世の援助やジャンヌ・ダルクの出現によって状況が変わり、1445年から1448年には軍事力を強化しました。1453年のカスティヨンの戦いで勝利を収めたことで、百年戦争はフランスの勝利に終わりました。

断絶とブルターニュの統合

アルテュール3世が1458年に死去した後、フランソワ2世が後を継ぎました。この時、フランス王ルイ11世はブルターニュの中央集権化を図っていました。フランソワ2世はルイ11世と対立し反乱を起こしましたが、1488年にサン＝トーバン＝デュ＝コルミエの戦いで敗北し、ブルターニュ軍は和睦に追い込まれました。フランソワ2世は最終的に娘アンヌの結婚を含む不利な条件を受け入れる羽目になり、ブルターニュはフランスに併合されました。

このように、ドルー家はブルターニュ公国の歴史に多大な影響を与えた存在であり、多くの戦いや政争の舞台となった重要な家系です。

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