ドロシー・ギャロッド

ドロシー・ギャロッド (1892年 - 1968年)

ドロシー・ギャロッドは、1892年にイギリスのサフォーク州メルトンで生まれた先駆的な考古学者です。彼女は、旧石器時代の研究において大きな業績を残し、また女性として初めてオックスブリッジで主任教授に就任したことで、歴史に名を刻むことになりました。父は医師のアーチバルド・ギャロッド卿であり、彼女はその影響を受けて学問の道を選びました。

教育と初期のキャリア

ギャロッドは、イースト・オブ・イングランドのメルトンで体験した私的教育を受けました。1913年にケンブリッジ大学のニューナム・カレッジに入学し、女性としての学業を追求しましたが、第一次世界大戦の勃発により、1919年までの間、様々な戦時活動に従事しました。この期間中に彼女は3人の兄弟を失い、ショックを受けました。その後、彼女は父の仕事の関係でマルタに滞在し、そこで古代遺跡に興味を持ち始めました。

父のオックスフォード大学での任命を契機に、ギャロッドはピットリバース博物館で人類学を学ぶことを決意します。そこで、彼女は名高い先史学者ロバート・マレットから影響を受け、先史学への道を進みました。また、フランスの著名な考古学者アンリ・ブルイユと過ごした期間が彼女にとって特に意義深いものでした。

重要な発見

ブルイユの推薦により、ギャロッドはジブラルタルのデビルズタワー洞窟を訪れ、ここで重要なネアンデルタール人の頭蓋骨を発見しました。この発見は1920年代の彼女の考古学的業績の中でも特筆すべきものです。1925年から1926年にかけて、ジブラルタルでの発掘が行われ、その後中東の南クルディスタンに遠征し、ハザル・メルド洞窟やザルジ洞窟の発掘にも取り組みました。

ギャロッドは、カルメル山における先史時代遺跡の重要性を認識し、さまざまな遺物やナトゥフ人の遺骨を発見しました。特に、彼女が命名した「ナトゥフ文化」は、後の考古学研究に大きく貢献しています。彼女の発掘によって、レバント地方の有史以前の文化が明らかにされ、地域の歴史的理解が深まりました。

教職と影響

ギャロッドは、1939年にケンブリッジ大学の考古学のディズニー教授に就任しました。この時点で、ケンブリッジ大学の初の女性教授であり、大学の女性教員は1921年に任命されていますが、女性が十分な権利を得たのは1947年になってからです。彼女は、第二次世界大戦末期には婦人補助空軍としても活動し、写真解析部門の責任者として従事しました。

ギャロッドの業績は、ただ考古学にとどまらず、女性の教育と権利の拡張にも寄与しました。1952年には英国学士院の特別会員に選ばれ、1965年には大英帝国勲位が授与されました。彼女は考古学者が現地調査を行うことの重要性を認識しており、ドロシーギャロッド旅行基金を設立するなど、次世代の考古学者を支援することにも尽力しました。

遺産

彼女の研究成果は今なお多くの考古学者に影響を与えており、特に女性が学問の領域での役割を広げるための模範となりました。彼女の業績は考古学の発展に貢献し、地元の労働者や女性の参加を促し、歴史的な発見の礎を築いたのです。ギャロッドは1968年にその生涯を閉じ、その業績は後世に息づいています。

もう一度検索