ドロップキック (フットボール)

ドロップキック：フットボールにおける特殊なキック

ドロップキックは、各種フットボール競技において見られるキックの一種で、ボールを一旦地面に落とし、その跳ね返りを蹴るという独特な技術を伴います。このキックは、ラグビー、サッカー、かつてはアメリカンフットボールなど、様々な競技で異なる役割を果たしてきました。

ラグビーにおけるドロップキック

ラグビーでは、ドロップキックはプレーの再開や得点の手段として利用されます。ボールを保持し、先端を下に向けて地面に落とし、跳ね返った瞬間を蹴るという動作は、正確さとタイミングが求められます。特に、ラグビーユニオンでは、キックオフの際に飛距離よりも高さを重視して蹴り上げることがあります。

ラグビーリーグでは、インゴールエリア内でのタックル後やノックオンの後に、ゴールラインからプレーを再開するためにドロップキックが用いられます。また、オープンプレー中にドロップゴールを狙うことも可能です。

ラグビーユニオンでは、キックオフやプレー再開、ドロップゴールを狙う際にドロップキックが使用されます。トライ後のコンバージョンキックも、プレースキックではなくドロップキックで行うことが認められています。

7人制ラグビー（セブンズ）では、15人制と同様の用法に加え、コンバージョンキックとペナルティーキックが全てドロップキックで行われなければならないという特徴があります。

アメリカンフットボールにおけるドロップキック

かつてはアメリカンフットボールでも、フィールドゴールやエキストラポイントの手段としてドロップキックが用いられていましたが、現代の試合ではほとんど見られなくなりました。これは、ボールの形状変更によりドロップキックの難易度が上がったため、プレースキックに取って代わられたという背景があります。

ジム・ソープの言葉にもあるように、ドロップキックはプレースキックに比べて難易度が高く、奇襲的な戦術として用いられることがありました。しかし、ボールの形状変更によりパスが容易になった反面、ドロップキックの安定性が失われ、衰退の一途を辿りました。

NFLでは、1941年を最後にドロップキックの成功例は途絶えていましたが、2006年にダグ・フルーティがエキストラポイントでドロップキックを成功させ、話題となりました。

ドロップキックの技術と戦術

ドロップキックは、ボールを地面に落として蹴るというシンプルな動作でありながら、高い技術と正確性が求められるキックです。ボールの落下地点、蹴るタイミング、足の当てる位置など、様々な要素がキックの成否を左右します。

また、ドロップキックは戦術的な意味合いも持ち合わせています。奇襲的な攻撃手段として、あるいはピンチを脱するための手段として、ドロップキックは試合の流れを変える可能性を秘めたプレーと言えるでしょう。

オーストラリアンフットボールでは、より正確なドロップパントに置き換わっています。

ドロップキックは、フットボールの歴史の中で様々な変遷を辿ってきました。現代ではその姿を見る機会は少なくなりましたが、その技術と戦術的な意味合いは、フットボールの奥深さを物語る要素の一つとして、今もなお語り継がれています。

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