ドローンズ (アルバム)

Drones (ドローンズ)

イギリス出身のロックバンド、ミューズが2015年に発表した通算7枚目のスタジオ・アルバムです。本国イギリスでは2015年6月8日、日本では同年の6月10日に発売されました。その他の多くの国でも、この期間中に順次リリースされています。

制作背景とコンセプト

本作『ドローンズ』は、これまでのセルフプロデュース体制から方向転換し、著名な音楽プロデューサーであるロバート・ジョン・“マット”・ラング氏との共同プロデュースによって制作されました。ラング氏はAC/DC|AC_DCやデフ・レパードといった多くのビッグネームを手掛けてきた実績を持ち、彼の参加がアルバムのサウンドに新たな側面をもたらしました。

また、今作は明確なコンセプトを持った作品として位置づけられています。前作から制作アプローチやテーマ性が変化しており、アルバム全体を通して一貫した物語やメッセージが込められています。

商業的・批評的成功

『ドローンズ』は、リリースされるやいなや世界中で大きな成功を収めました。特にチャートアクションにおいては顕著な成果を見せています。

バンドにとって本国であるイギリスでは、2003年にリリースされた3作目のアルバム『アブソルーション』以降、本作で5作連続となるオリコンチャート1位を獲得するという快挙を達成しました。これは、彼らが長年にわたりイギリスの音楽シーンで不動の地位を築いていることを証明するものです。

さらに、音楽市場として世界最大規模を誇るアメリカ合衆国においても、ビルボードチャートでバンド史上初となる初登場での1位を獲得しました。これはミューズにとって、全米チャートでの自身初の首位獲得でもあり、彼らの人気が世界的な広がりを見せていることを強く印象づける出来事となりました。

これらの主要国以外でも、本作は実に22ヶ国以上でチャートのトップを飾り、文字通り世界的なヒットアルバムとなりました。

また、商業的な成功に加え、批評的な評価も非常に高いものとなりました。特に、第58回グラミー賞では「最優秀ロック・アルバム賞」を受賞しました。これは、ミューズにとって5作目のアルバム『ザ・レジスタンス』から数えて3作連続でのグラミー賞ノミネートを経ての受賞であり、『ザ・レジスタンス』以来2度目の同賞受賞という栄誉でした。この受賞は、『ドローンズ』がその革新性や完成度において、音楽業界内外から高く評価されたことを示しています。

関連楽曲

本作からは複数の楽曲がシングルとしてリリースされました。

「デッド・インサイド」はアルバムに先駆けて先行シングルとして発表され、アルバムへの期待感を高めました。
「サイコ」はプロモーション用途でリリースされた楽曲で、「デッド・インサイド」のシングルCDのB面にも収録されています。
「マーシー」は、日本の著名な音楽番組である「ミュージックステーション」にてバンドが披露した楽曲としても知られています。
「アフターマス」のミュージックビデオは、日本のお笑い芸人である鉄拳氏がパラパラ漫画で制作したことでも話題となりました。このビデオでは、戦場へと向かう一人の兵士の複雑な心情が叙情的に描かれています。
その他、「リヴォルト」や「リーパーズ」といった楽曲もシングルカットされました。

初回生産限定盤特典

本作の初回生産限定スペシャル・エディション盤には、特典としてDVDが付属しました。このDVDには、アルバム収録曲のライブ映像やサウンドチェックの様子、さらにはアルバムの制作過程を記録したメイキング映像などが収録されています。

収録映像:

「サイコ」のライヴ・アット・グラスゴー公演の模様
「デッド・インサイド」のライヴ・アット・ブライトン公演の模様
「ザ・ハンドラー」のエクセターでのサウンドチェック映像
「リーパーズ」のライヴ・アット・エクセター公演の模様
アルバム制作の舞台裏に迫るボーナス・スタジオ映像（日本語字幕付き）

これらの映像は、アルバムの世界観やバンドのパフォーマンスをより深く知るための貴重な資料となっています。

『ドローンズ』は、プロデューサーとの共同作業、明確なコンセプト、そして世界的なチャートでの成功とグラミー賞受賞という輝かしい実績により、ミューズのキャリアにおいて極めて重要な位置を占める作品の一つと言えるでしょう。

もう一度検索