ドーバー洋酒貿易

ドーバー洋酒貿易株式会社

ドーバー洋酒貿易株式会社は、洋酒の輸入と製造を手掛ける日本のメーカーです。世界10か国33社から約250種類の洋酒を直輸入する一方、自社でも約250種類の洋酒を製造しています。特に製菓用洋酒の品揃えは世界的に見ても非常に豊富で、日本国内の洋菓子店の8割以上でドーバー洋酒貿易の製品が使用されています。

社名の由来はドーバー海峡にあります。

沿革

創業者である和田泰冶氏は、日本大学卒業後、モロゾフ酒造（当時東証二部上場）に入社し、営業職として勤務していました。洋菓子コンクールの会場で菓子職人の世界に触れたことがきっかけで、製菓用洋酒の取り扱いを志すようになります。しかし、1968年にモロゾフ酒造が会社更生法の適用を受けることになり、和田氏は新たな道を模索することになります。

実業家であった父の勧めもあり、1969年に製菓用洋酒を取り扱う和田商事を設立しました。

1969年（昭和44年）10月 - 和田泰治により、東京都目黒区にドーバー洋酒貿易株式会社を設立。
1970年（昭和45年）3月 - ドーバー洋酒貿易株式会社創業。
1978年（昭和53年）12月 - 和田泰治によってドーバー酒造株式会社設立。
1980年（昭和55年）11月 - 神奈川県厚木市に「ドーバー酒造 神奈川厚木工場」竣工。
1988年（昭和63年）4月 - 「大阪支店」開設。
1993年（平成5年）10月 - 「仙台事務所」開設。
1994年（平成6年）10月 - 兵庫県中町に「ドーバー酒造 西神戸工場」竣工。
1996年（平成8年）2月 - 東京都渋谷区に本社社屋竣工。
2002年（平成14年）1月 - 大阪市淀川区に関西支店社屋竣工。
2005年（平成17年）9月 - 兵庫県三田市テクノパーク内に「ドーバー酒造 神戸三田工場」竣工。
2011年（平成23年）5月 - 軽井沢ブルワリー株式会社創業。
2014年（平成26年）2月 - 東京都渋谷区に本社アネックス竣工。
* 2020年（令和2年）7月 - 神戸三田工場・神奈川厚木工場、両工場において国際規格「FSSC 22000」取得。

ドーバー酒造

ドーバー酒造は、ドーバー洋酒貿易の子会社であり、自社ブランドの洋酒の醸造および輸入洋酒のボトリング製造を行っています。1978年12月に設立され、兵庫県三田市テクノパークと神奈川県厚木市に工場を構えています。

また、アルコール消毒液「パストリーゼ77」の製造でも知られています。

2022年12月2日には、神戸三田工場において、ブランデーのタンク洗浄水が武庫川へ流出する事故が発生しました。これにより、下流の県営三田浄水場で基準値を超えるエタノールが検出され、広範囲にわたる断水を引き起こしました。

パストリーゼ77

パストリーゼ77は、1986年にホテルやケーキ店などの業務用として開発されたアルコール消毒液です。商品名の「77」は、アルコール度数が77%であることに由来します。酒造免許によって製造されているため飲用も可能です。

開発のきっかけは、生クリームから大腸菌が検出された事件でした。製菓業界からの要望に応え、アルコール除菌スプレーとして開発されました。

醸造アルコールと純水を使用し、カテキンによる抗菌・抗ウイルス効果が期待できます。食品に直接噴霧できる安全性や、ペットがいる家庭でも使用できる点などが評価され、広く利用されています。南極観測隊の指定商品にも選ばれています。

2003年の台湾でのSARS流行時には、パストリーゼ77の効能が日本でも注目を集めました。さらに、新型コロナウイルス感染症の世界的流行以降、一般消費者からの需要も高まっています。

2019年には、商品のボトルデザインがグッドデザイン賞を受賞しています。

軽井沢ブルワリー

軽井沢ブルワリーは、クラフトビールを製造するドーバー洋酒貿易の子会社です。2011年に創業し、「THE軽井沢ビール」のパッケージには、軽井沢千住博美術館で和田氏が感銘を受けた千住博の絵画が採用されています。

もう一度検索