ナイアガラ川

ナイアガラ川の詳細

ナイアガラ川は、エリー湖からオンタリオ湖へと流れる、五大湖・セントローレンス川水系の一部をなす重要な河川です。全長58kmで、アメリカ合衆国ニューヨーク州とカナダ・オンタリオ州の国境線を形成しています。この川の最大の特徴は、その途中に存在するナイアガラの滝です。

地理的な特徴

ナイアガラ川は、エリー湖とオンタリオ湖の間の地峡を流れ、両湖の間には99mの標高差があります。この地峡にはナイアガラ崖線が通っており、ケスタ地形を形成しています。ナイアガラの滝は、この崖線が急な傾斜になった場所に形成されました。滝は侵食により、12,000年の間に崖線から11km上流に移動し、滝と崖線の間には渓谷が形成されています。川の落差は水力発電に利用されており、19世紀後半から発電が行われています。

水力発電

ナイアガラ川の水力発電は、1895年に最初の発電所が稼働を開始しました。その後、カナダ側とアメリカ合衆国側に複数の発電所が建設され、現在では合計4.4GWの電力を生産しています。これらの発電所のダムは、ナイアガラ滝下流における侵食の進行を大きく抑制する役割も果たしています。

支流と運河

ナイアガラ川には、トナワンダ川とウェランド川という2つの主要な支流があります。トナワンダ川はエリー運河の一部となっており、エリー運河はナイアガラ川の中洲であるグランド島の近くを起点とし、ニューヨーク州北部を東西に横断してハドソン川へと繋がっています。一方、ウェランド川はウェランド運河の一部となっており、ウェランド運河はナイアガラ滝を回避してエリー湖とオンタリオ湖の間を船で航行できるようにするために設けられた閘門式運河です。

国境と都市

ナイアガラ川の左岸（西岸）はカナダ領、右岸（東岸）はアメリカ合衆国領となっています。エリー湖の起点付近にはニューヨーク州第2の都市バッファローが位置し、ナイアガラの滝の両側には、カナダ側のオンタリオ州ナイアガラフォールズとアメリカ側のニューヨーク州ナイアガラフォールズという双子都市が形成されています。ナイアガラの滝は中洲のゴート島によってアメリカ滝とカナダ滝に分かれていますが、ゴート島自体はアメリカ合衆国側に位置します。

環境保護と歴史

ナイアガラ川には、ブランディングガメやミズウミチョウザメなどの絶滅危惧種やフエコチドリを含む水鳥が生息しており、2019年にアメリカ合衆国のラムサール条約登録地となりました。また、ナイアガラの滝からジョージア湾とヒューロン湖本体の間にあるブルース半島まで伸びるナイアガラ崖線は、1990年にユネスコの生物圏保護区に指定されました。

歴史的な役割

ナイアガラ川周辺は、フレンチ・インディアン戦争、独立戦争、米英戦争などの戦場となり、エリー砦、ジョージ砦、ナイアガラ砦といった砦はこれらの戦争において重要な役割を果たしました。また、南北戦争以前は、ナイアガラ川は南部から逃亡してきた黒人奴隷にとって自由への道でした。オハイオ川を渡って北部の州にたどり着いた奴隷は、地下鉄道によってさらに北へと逃げ、カナダを目指しました。オンタリオ州南部には、こうした逃亡奴隷が住み着いて形成されたコミュニティが多数存在します。

水上交通の変遷

ナイアガラ崖線とナイアガラの滝は、長い間水上交通の障害となっていました。滝を迂回するため、かつては陸路による輸送が行われていましたが、1825年にエリー運河が、1829年にウェランド運河が開通したことで、大西洋とエリー湖が水路で繋がりました。ウェランド運河はその後3回ルート変更がなされ、1932年に開通した第4運河が現在使用されています。

近年の出来事

1918年には、浚渫作業中に流出した鉄製の艀が滝の上流の岩に引っかかり、長らくその姿をさらしていましたが、2019年に強風と豪雨によって移動し、カナダ滝に近づいたことが確認されました。

主な島々

ナイアガラ川には多くの島があり、その中でも特に有名なのは以下の通りです。

ゴート島
グリーン島
スリーシスターズ諸島
ネイビー島
グランド島（ナイアガラ川最大の島）
バックホーン島
カユガ島
トナワンダ島
モーター島
リトルビーバー島
ストロベリー島
ユニティ島

参考文献

Wikipedia

外部リンク

Niagara Photos
* Niagara River and its Around Views

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