ナイトホークス (小説)

ナイト・ホークスについて

『ナイト・ホークス』（原題: The Black Echo）は、アメリカの著名なミステリー作家マイクル・コナリーによって1992年に発表されたデビュー作です。この作品は、ハリー・ボッシュ・シリーズの初めての長編作品でもあり、警察小説として多くの読者を魅了しています。物語は、ロサンゼルス市警の殺人課で捜査官として働くボッシュが、FBIの女性捜査官エレノア・ウィッシュと共に絡み合う殺人事件と銀行強盗事件の捜査を展開する内容です。

あらすじ

物語の幕開けは、一人の非行少年がマルホランド・ダム近くで死体を発見し、通報する場面から始まります。これを受けたボッシュは、その死体がただの薬物過剰摂取による事故死ではなく、冷酷な殺人に偽装されていることに気が付き、彼の相棒エドガーと共に捜査を開始します。ボッシュは、かつてロス市警の強盗殺人課で約10年間勤務していた実績を持ちながらも、『ドールメーカー事件』の不適切な行動により停職処分を受け、ハリウッド署の殺人課に異動されていました。

ボッシュが見た死体の顔には見覚えがあり、その正体は彼がベトナム戦争中に共に戦った仲間、ウィル・メドーズなのです。自宅捜索を行うと、誰かが既に探した形跡があり、さらに質屋の裏にある質札を発見します。この質札は前日に泥棒が入った質屋のもので、その際にブレスレットも盗まれていました。ボッシュが市警のデータベースでブレスレットを調べると、その品は彼が停職中に発生した銀行強盗事件に関連するものであることが分かります。ボッシュはメドーズが銀行強盗事件に関連していると推測し、当時の捜査を担当していたFBIのウィッシュ捜査官との接触を試みます。しかし、その行動はロス市警の上層部に知られることとなり、ボッシュは捜査から外されます。

ボッシュは諦めず、再び捜査に戻るためにウィッシュや市警上司を脅すような行動に出ます。二人はコンビを組み、目撃証言を得るために死体遺棄を目撃した少年に接触しますが、彼は犯人を見ていません。その後、少年は何者かに命を奪われ、ボッシュは強い怒りと責任感を抱きつつ、犯人の逮捕を誓います。

捜査が進む中、ボッシュはメドーズが一時期滞在した更生施設で彼と親しかった仲間に目を向けます。ウィッシュはボッシュを自宅に招待し、二人の間に特別な絆が芽生え、一夜を共に過ごします。彼女の家にはボッシュも気に入っているエドワード・ホッパーの絵が飾られています。

捜査が進むと、ボッシュは銀行強盗事件の被害者リストにあるベトナム系の人物、ゴー・ヴァン・ビンにたどり着きます。ビンは1975年のサイゴン陥落の際、米国に移住し、賄賂を受け取っていた元警察官であることがわかります。ボッシュはビンが銀行強盗の狙いだったダイヤモンドの持ち主であると確信し、さらに捜査を進めます。しかし、内部の陰謀が潜んでいることに気付き、次第にボッシュは予想外の危機に直面します。

ボッシュが捜査を続ける中、内務監査課の刑事が犯人らに撃たれ、ボッシュ自身も命の危険にさらされます。最終的に、ウィッシュがボッシュを救うも、二人の関係には更なる試練が待ち受けています。結末では、ボッシュは自らの信念を貫き通し、新たな真実を発見することで物語は幕を閉じます。

評価と受賞歴

『ナイト・ホークス』はその独自のストーリーテリングと深いキャラクター描写で多数の評価を受けました。ニューヨーク・タイムズはこの作品を「警察小説と冒険小説の要素を併せ持つ、最後まで緊張感のある読み応えのある本」と称賛しました。また、パブリッシャーズ・ウィークリーは「本格的かつ独創的な処女長編作品」として高く評価しました。さらに、本作は1993年にエドガー賞の処女長編賞を受賞し、他にもアンソニー賞の新人賞やディリス賞にノミネートされています。このように、『ナイト・ホークス』は警察ミステリーの新たな金字塔として確固たる地位を築きました。

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