ナガレタゴガエル

ナガレタゴガエル (Rana sakuraii)

ナガレタゴガエルは、アカガエル属に分類される日本固有のカエルです。種小名の sakuraii は、本種を発見した桜井淳史氏に献名されたものです。

分布

本種は、中国地方から関東地方にかけての、標高1000mまでの山間部の渓流に生息しています。日本固有種であり、特定の地域にのみ生息していることが特徴です。

形態

オスの体長は38mmから45mm程度、メスは43mmから60mm程度です。雌雄ともに体色は似ており、背面は黄土色、赤褐色、灰褐色など個体差が見られます。喉から胸部にかけて黒い斑紋があるのが特徴です。鼓膜の周囲は濃褐色で、鼓膜自体はあまり目立ちません。

ナガレタゴガエルは、タゴガエルと非常に近縁な種ですが、繁殖時期、繁殖場所、オスの鳴き声が異なります。また、後足の水かきがタゴガエルよりも発達している点も、見分けるポイントとなります。
繁殖期には、オスの腹部が赤みを帯び、雌雄ともに皮膚が伸びてひだ状になるという特徴があります。

生態

多くのカエル類が水田や池などに生息するのに対し、ナガレタゴガエルは渓流やその付近を主な生息場所としています。繁殖期は2月から4月で、本州に生息するカエルの中では最も早く繁殖を行います。渓流の水中で産卵を行い、卵は水中の石の下などに産み付けられます。一度の産卵数は50個から170個程度です。

繁殖期が終わると成体は陸上に上がり、昆虫などを捕食して生活します。秋になると再び渓流に戻り、水中で冬眠を行います。このように、ナガレタゴガエルは、一年を通して渓流と陸地を行き来する生活を送っています。

参考文献

松橋 利光著, 日本のカエル+サンショウウオ類, 山と溪谷社, 初版第1刷, ISBN 9784635070096
内山りゅう, 決定版日本の両生爬虫類, 平凡社, 初版第4刷, ISBN 4582542328
日高敏隆監修、千石正一ほか編 『日本動物大百科5 両生類・爬虫類・軟骨魚類』、平凡社、2002年初版第3刷、ISBN 4582545556
Kaneko Y, Matsui M (2004) Rana sakuraii. 2006 IUCN Red List of Threatened Species. Downloaded on 23 July 2007.

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