タゴガエル

タゴガエルについて

タゴガエル（Rana tagoi）は、両生綱無尾目アカガエル科に属するカエルで、日本固有種です。2024年現在、3つの亜種が確認されています。このカエルの名前は、両生類研究で知られる動物学者・田子勝彌氏に由来しています。

分布

タゴガエルは、以下の3亜種に分類されていますが、それぞれのタイプ産地やタイプ標本については、いくつかの混乱や問題が指摘されています。

タゴガエル（Rana tagoi tagoi）：本州、四国、九州に分布する名義タイプ亜種です。
オキタゴガエル（Rana tagoi okiensis）：隠岐諸島の島後にのみ生息する固有亜種です。
ヤクシマタゴガエル（Rana tagoi yakushimensis）：屋久島にのみ生息する固有亜種です。

形態

タゴガエルは、指趾の先端がわずかに膨らんでいるのが特徴です。また、後肢の水かきは切れ込みが深く、趾の先端まで発達していません。下顎には暗色の斑紋が見られます。繁殖期のオスは体側面の皮膚が襞状に弛緩します。

亜種ごとの体長は以下の通りです。

オキタゴガエル：オスは3.8～4.3cm、メスは4.5～5.3cm
タゴガエル：オスは3.5～4.5cm、メスは4.5～5cm
ヤクシマタゴガエル：オスは3.7～4.8cm、メスは4.2～5.4cm

分類

近年、ミトコンドリアDNA（mDNA）および核DNA（nDNA）の解析により、タゴガエルの亜種間、またナガレタゴガエルとの間で、遺伝的な多様性が明らかになりました。これらの解析結果から、タゴガエルは複数のグループに分けられることが示唆されています。さらに、2014年には長野県根羽村付近の個体群がネバタゴガエル、2023年には五島列島の個体群がゴトウタゴガエルとして新種記載されました。

生態

タゴガエルは、低山地から標高2,000m以下の森林に生息しています。食性は動物食で、昆虫、クモ、陸生巻貝などを捕食します。幼生は変態するまで卵黄を消費して成長します。

繁殖期は亜種によって異なり、タゴガエルは1～2月または4～5月、オキタゴガエルは2～3月、ヤクシマタゴガエルは10～翌4月に伏流水や渓流周辺の水たまりに60～110個の卵を産みます。

参考文献

Etoら（2012, 2014）によるミトコンドリアDNAおよび核DNAの解析
2014年のネバタゴガエルの新種記載
2023年のゴトウタゴガエルの新種記載

関連項目

アカガエル属

外部リンク

* 秋に現れたオタマジャクシに「変だな」　五島列島で発見の新種カエル (朝日新聞2023年10月16日)

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