ナクサの日

ナクサの日

ナクサの日、アラビア語で「挫折の日」または「後退の日」（Yawm an-Naksa, يوم النكسة）を意味するこの日は、毎年6月5日に世界中のパレスチナ人およびその支持者によって追悼される重要な日です。この日は、1967年に勃発した第三次中東戦争（「六日間戦争」としても知られる）におけるイスラエルの勝利が、パレスチナの人々にとって新たな、そして深刻な苦難の始まりとなったことを記憶するために定められています。

歴史的背景：第三次中東戦争とその結果

1967年6月5日に始まった第三次中東戦争は、わずか六日間で終結しました。イスラエルはこの戦争で、エジプトからシナイ半島とガザ地区、シリアからゴラン高原、そしてヨルダンからヨルダン川西岸地区（東エルサレムを含む）を占領し、支配領域を大幅に拡大しました。これらの地域のうち、ガザ地区とヨルダン川西岸地区は、多くのパレスチナ人が居住している地域であり、特にヨルダン川西岸地区は1948年の第一次中東戦争以降ヨルダンに併合され、ガザ地区はエジプトの支配下にありました。

イスラエルによるこれらの地域の占領は、そこに住むパレスチナ人にとって悲劇的な結果をもたらしました。多くの人々が戦闘やイスラエルの軍事行動から逃れるために故郷を追われ、難民となりました。この新たな強制移動は、パレスチナの人々が1948年の第一次中東戦争時に経験した最初の大きな離散である「ナクバ」（大破局）に続くものであり、彼らの集合的記憶において「第二次ナクバ」とも位置づけられています。

ナクサの日が持つ意味

ナクサの日は、単に過去の出来事を追悼する日ではありません。それは、1967年以降現在に至るまで続くイスラエルによるこれらの地域の占領と、それに伴うパレスチナ人の人権侵害、移動の制限、土地の没収といった現実に対する抵抗の意思を内外に示す日です。この日、パレスチナおよび世界各地のパレスチナ人コミュニティでは、占領への抗議、帰還権（故郷に戻る権利）の主張、そしてパレスチナ国家の樹立に向けた連帯を示すためのデモ、集会、文化イベントなどが行われます。

ナクサは、パレスチナの人々が経験した二度の大きな歴史的悲劇、すなわち1948年のナクバと1967年のナクサを象徴しています。ナクバの日が5月15日に追悼されるのに対し、ナクサの日はその約三週間後に続きます。これら二つの日は、パレスチナ人のアイデンティティ、記憶、そして将来への希望に深く結びついています。

ナクサの日は、失われた土地、離散した家族、そして奪われた権利を記憶し、国際社会に対してパレスチナ問題の解決を訴えるための重要な機会となっています。それは、パレスチナの人々が困難な状況下でも抵抗を続け、自分たちの権利と尊厳のために闘い続ける意志を再確認する日でもあるのです。

このように、ナクサの日はパレスチナ人にとって歴史的な節目であると同時に、現在の政治状況に対する抵抗と将来への希望を象徴する日として、深い意味を持っています。

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