ナサニエル・ホーン・ジ・エルダー

ナサニエル・ホーン (Nathaniel Hone RA)

ナサニエル・ホーンは1718年4月24日にダブリンで誕生し、1800年代初頭の肖像画家として名を馳せました。彼はアイルランド出身ながら、イングランドに移り住んで技術を磨き、最終的には画家としての名声を確立しました。特に人気のある作品は、ミニアチュール肖像画と呼ばれる小型のエナメル画に見られます。ロンドンでの生活を経て、彼は1768年に設立されたロイヤル・アカデミー・オブ・アーツの創設メンバーとなり、その活動を通じて多くの後進のアーティストたちに影響を与えました。

教育的な背景は特に独特で、彼は独学で絵画を学びました。若いころの彼は、商人の家に生まれ、経済的な基盤を有していましたが、彼自身の才能によって持ち味を発揮しました。ホーンは1742年にメアリー・アールと結婚し、裕福な生活を享受しつつ、彼の職業としての絵画活動に専念します。

1750年から1752年の間にイタリアでの研修を行った後、1753年には短期間パリに滞在しました。これらの影響が彼の作品に色濃く反映され、特に明るい色使いや技術的な洗練が見られるようになりました。また、彼は1760年に芸術家協会のメンバーに選ばれ、その後ロイヤル・アカデミーに参加することとなります。

ホーンは仲間の画家たちと共に新たな芸術スタイルや技術を追求し、肖像画の分野で名声を確立しました。彼の顧客には、法律家のジョン・フィールディング卿や有名な宗教指導者ジョン・ウェスレーといった、当時の著名人が含まれています。彼はまた、自身の作品を版画にして出版することで、作品の人気をさらに高めています。

彼のキャリアの中で、特に興味深い出来事が1775年に起こります。この年、彼は『魔術師（The Conjurer）』という作品をロイヤル・アカデミーの展示に出展しようとしましたが、これが当時の有力な画家ジョシュア・レノルズを風刺すると見なされ、パトロンであった女性画家アンゲリカ・カウフマンとの関係が疑われたために、展示を拒否される事件が発生しました。この騒動の後、ホーンはカウフマンの像を塗り消し、他の多数の自身の作品と共に独自の展覧会を行います。

彼はその後もロイヤル・アカデミーの展覧会に出展を続け、存在感を示していきました。ホーンは1784年、ロンドンでその生涯を終えましたが、ふたりの息子、ジョン・カミラス・ホーンとホーレス・ホーンも画家として活躍しました。彼の影響は後世のアーティストに受け継がれ、彼の作品は現在も多数の美術館で見ることができる貴重な財産となっています。

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