ナシレマッ

ナシレマッ：マレーシアを代表する香り高い米料理

マレーシアで親しまれるナシレマッ（nasi lemak）は、ココナッツミルクと塩で風味豊かに炊き上げたご飯をベースにした料理です。直訳すると「脂ご飯」を意味し、ココナッツミルク由来の豊かなコクが特徴です。マレーシア国民に広く愛され、朝食として頻繁に食卓に並び、ホテルや航空機の機内食にも登場するほどポピュラーな存在となっています。

調理法と地方によるバリエーション

通常、インディカ[[米]]を使用し、ココナッツミルクと塩に加え、パンダンリーフ（ニオイタコノキの葉）などの香草で風味付けをします。白[[米]]と見た目は似ていますが、マレーシアでは水だけで炊いたご飯よりもナシレマッの方が一般的です。蒸して作る場合は「ナシルマッ・ククス」と呼ばれます。

味付けは地域によって異なり、パンダンリーフのほかに、ニンニク、砂糖、唐辛子などが加えられることも。砂糖を加えることで甘みのあるナシレマッ、唐辛子で辛みのあるナシレマッなど、多様な味わいが楽しめます。

基本のおかずと好みに合わせたアレンジ

ナシレマッには、いくつかの定番のおかずが添えられます。

イカンビリス (ikan bilis): 小さなカタクチイワシを揚げた、塩味の効いた小魚。日本のカタクチイワシの煮干しよりも小ぶりです。
ピーナッツ (kacang goreng asin): 揚げて塩を振ったピーナッツ。ニンニク風味のものもあります。
サンバル (sambal): 唐辛子を使った、マレーシア風の辛味のある味噌。
キュウリ (timun): 日本のものより大型で、薄切りにして提供されます。持ち帰りでは傷みやすいため省かれることも。

これらの基本のおかず以外に、好みに合わせて様々な料理を追加することができます。

肉料理: 鶏肉が最も一般的ですが、牛肉やヤギ肉なども使用されます。スパイスやハーブで煮込んだり、揚げたりしたものが多く見られます。
野菜や豆腐料理: スパイスを使ったスパイシーなものが多く、汁気のある料理はナシレマッに染み込ませていただきます。
ゆで卵: 味付けされていることが多いです。
エビのサンバル炒めなど: 魚介類を使ったおかずは比較的価格が高い傾向があります。

伝統的には、スプーンを使わず、右手でナシレマッをいただく習慣があります。屋台などでは、かつてはバナナの葉で包んで持ち帰ることが多かったですが、近年は発泡スチロール容器やプラスチック容器、油紙なども利用されています。追加注文したおかずは、ナシレマッの上に載せて一緒に包まれることが多いです。

栄養価と健康面

ナシレマッは米とココナッツオイルを主成分とするため、高カロリーです。そのため、マレーシア政府は、健康上の観点から、学校給食などでの提供頻度の削減を指導しています。

各国でのナシレマッ

マレーシアだけでなく、タイ南部、シンガポール、ブルネイなどでもナシレマッは親しまれています。インドネシアでは、ナシウドゥッ（nasi uduk）やナシ・リウェッ（nasi liwet）など、類似の米料理があります。

まとめ

ナシレマッは、ココナッツミルクの豊かな風味と香草の香りが食欲をそそる、マレーシアを代表する料理です。多様なアレンジが可能な点も魅力で、人々の生活に深く根付いた国民食といえるでしょう。しかし、高カロリーである点には注意が必要です。

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