ナジュラーン

ナジュラーンは、サウジアラビア南西部に位置し、イエメンとの国境に接するナジュラーン州の州都です。標高1,293mの高地に位置し、その地理的特性から比較的穏やかな気候が特徴です。都市の人口は急速に増加しており、1974年の47,500人から2010年には50万人を超えるまで成長を遂げています。

歴史

ナジュラーンは、紀元前9世紀にはその存在が確認されており、古代から重要な拠点として機能していました。アラビア半島南部では、古代には複数の王朝が並立し、中世にはイエメンに独立政権が樹立されました。その中で、ナジュラーンはシリアとペルシア湾を結ぶ交易ルートの中継地として栄えました。また、オアシス地帯に位置するため、農業も盛んであり、古代からアラビア半島有数の重要拠点でした。ワディナジュラーン沿いのウフドード遺跡には、サバア王国時代の碑文が残されており、その歴史の深さを物語っています。

2世紀末には、エチオピアのアクスム王国がアラビア半島に進出し、ナジュラーンはアラビアにおけるアクスムの第二の拠点となりました。6世紀にはヒムヤル王国時代に南アラビア有数のキリスト教徒の拠点となり、523年にはヒムヤル王ズー・ヌワースによるキリスト教共同体への弾圧事件が発生し、多くの殉教者を出しました。こうした歴史的経緯から、1934年にサウジ・イエメン戦争でサウジアラビアが勝利するまで、ナジュラーンは時にイエメンの支配下に置かれ、イエメンからの影響を強く受けていました。伝統的な家屋に見られる、漆喰に施された防水装飾にはイエメンの影響が色濃く残っています。

1965年からは、旧市街地に隣接する土地で新市街地が建設され、ファイサリーヤと名付けられました。新市街地には、住宅地、公園、学校、病院などの施設が整備され、周辺では工業団地の建設も進められています。しかし、2018年には、隣国イエメンの反政府勢力フーシが発射した弾道ミサイルが市内に飛来するなど、紛争の影響も受けています。

地理と気候

ナジュラーンは、標高1,293mの高地に位置するため、比較的穏やかな気候が特徴です。

交通

ナジュラーンには、ナジュラーン地方空港があり、周辺地域との交通を支えています。

教育

2006年には、国立大学であるナジュラーン大学が設立され、地域の教育水準の向上に貢献しています。

スポーツ

サッカーでは、ナジュラーン・クラブが本拠地としています。

まとめ

ナジュラーンは、歴史的な背景と地理的な位置から、多様な文化が交錯する都市です。古代から交易の中継地として栄え、イエメンとの関係も深く、その影響が随所に見られます。近年は急速な都市化が進み、教育機関やインフラも整備されていますが、紛争の影響も受けるなど、様々な側面を持つ都市と言えるでしょう。

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