アクスム王国

アクスム王国について

アクスム王国（መንግሥተ አኩስም）は、かつてエチオピア東北部およびエリトリアに栄えた重要な交易国家です。その歴史は紀元前5世紀頃からスタートし、紀元後1世紀までに交易国としての地位を確立しました。特に325年または328年にコプト派キリスト教を受け入れ、7世紀に入るまで繁栄を続けました。しかし、衰退が始まり、950年頃にはクシ系のアガウ族の女族長グディットにより滅ぼされたとされるのです。なお、アクスム王朝の流れを汲むアンベッサ・ウディムが即位するなど、その後も歴史が続いたとされる説も存在します。

王国の成立と領土拡張

アクスムは、南アラビアから紅海を越えたセム語系のサバ人を中心に建国されたと考えられています。しかし、他の説によると、地元のダモト王国の後継国家であったとも言われており、その成立には複数の民族が関与していたと推測されます。王国の王は自らの血筋をソロモン王とシバの女王に結び付け、「王の中の王」としての地位を誇示しました。

アクスムはインドやローマとの交易が盛んで、象牙や金、エメラルドを輸出し、香辛料や手工業製品を輸入するなど、経済的に豊かでした。特に、2世紀には紅海を越えてアラビア半島に勢力を伸ばし、北エチオピアを征服しました。350年にはクシュ王国も征服し、アクスム王国はその領土を広げていきました。

硬貨の発行と経済

アクスム王国は、アフリカで最初の硬貨を持つ国となり、270年から670年の間に様々な金貨や銀貨を鋳造しました。これにより交易が活発化し、硬貨は王国のプロパガンダ効果を持つ重要な収入源となりました。最盛期にはエリトリア、北部エチオピア、イエメン、ソマリア北部、ジブチ、スーダン北部等に広がり、その中心地はアクスムでした。

文化と宗教

アクスムは多文化が共存する国で、エジプトや中東、インドの影響を受けていました。特に、3世紀に建立された戦勝碑にはギリシャの神々の名が刻まれており、地中海文化が色濃く残っていたことを示しています。325年頃にはエザナ王の指導のもとでキリスト教が国教となり、以降はエチオピア正教会が形成されました。今でも教会の典礼にはアクスムの言語であるゲエズ語が使用されています。

アクスムはプレスター・ジョン伝説の候補地としても知られ、様々な民族が交流する場所でもありました。オベリスクの存在は、王国の初期の建築物が残っていることを示しており、文化的な重要性を物語っています。

衰退とその後

7世紀にイスラム教が興起すると、アクスムは次第に新興のイスラム帝国の圧力を受け続けました。しかし、アクスムはヒジュラで預言者ムハンマドを匿い、イスラムとの友好関係を保っていたため、完全な侵攻やイスラム化には至りませんでした。その後、1[[1世紀]]もしくは12世紀にザグウェ朝が成立し、その後のエチオピア帝国に至る系譜が形成されました。

まとめ

アクスム王国は、その広大な領土と多彩な文化、交易のネットワークにより古代エチオピアの重要な国家の一つとなりました。後のエチオピア帝国の礎を築いたこの王国の遺産は、今でも地域の歴史に深く根付いています。

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