アフリカーナー

アフリカーナー：南アフリカを彩る白人民族集団

アフリカーナーは、南アフリカ共和国やナミビアを中心に暮らす白人民族集団です。17世紀半ば、オランダを中心に、フランスやドイツなどから、宗教の自由を求めてアフリカ南部に移住した人々がそのルーツです。オランダ語を基に発展したアフリカーンス語を話し、オランダ改革派教会を信仰する人が多いという共通点があります。かつては「ブール人」（農民を意味するオランダ語）と呼ばれていました。

歴史：オランダ植民地時代からアパルトヘイトへ

オランダ植民地時代（1652年-1795年）

1652年、オランダ東インド会社は、東アジア航路の補給拠点としてケープタウンを建設しました。これがアフリカーナーの始まりです。その後、フランスのユグノーなど、ヨーロッパ各地からのプロテスタント移民も加わり、多様な背景を持つ民族集団が形成されました。彼らは、先住民やアジア・アフリカ系の奴隷を従え、土地を所有して農業を営みました。この過程で、異人種間の婚姻や性暴力も発生し、現代のアフリカーナーの遺伝子には非ヨーロッパ系の血統が平均約4.8%含まれているという研究結果もあります。

民族形成期（1795年-1910年）

1795年、イギリスがケープ植民地を占領しました。イギリスによる奴隷解放政策によって、無償の労働力を失ったアフリカーナーはイギリス支配に反発し、1830年代から1840年代にかけてグレート・トレックと呼ばれる大移動を行いました。内陸部へ進出し、独自の共和国を建国しますが、イギリスとの間でボーア戦争が勃発します。イギリスの圧力の下、アフリカーナーは強制収容所に送られるなど、大きな苦難を経験しました。この戦争は、後の帝国主義論に影響を与えたと言われています。

南アフリカ連邦期（1910年-1961年）

1910年に南アフリカ連邦が成立すると、アフリカーナーは政治的な影響力を徐々に失っていきます。しかし、南アフリカ連邦成立後の首相7人のうち6人がアフリカーナー出身であることからも、その政治的影響力の大きさがわかります。この時代、イギリスとの協調路線とアフリカーナー中心の南アフリカを目指すナショナリズムの対立が続きました。1948年、国民党が政権を獲得し、アパルトヘイト政策が開始されます。これは、白人優位を維持するための政策でしたが、国際社会から強く批判されました。

南アフリカ共和国成立以後（1961年-）

1961年、南アフリカ共和国が成立しますが、アパルトヘイト政策は続きました。この政策は白人社会全体を優遇するものであり、黒人など有色人種は政治的、経済的、社会的にも抑圧されました。アパルトヘイト政策には反対する動きもありましたが、多くのアフリカーナーは政策を支持し、その後も政治的、経済的利権を享受していました。アパルトヘイト終結後も、極右のアフリカーナー抵抗運動など、アパルトヘイト体制の維持を望む集団も存在しています。

文化：アフリカーンス語と宗教

アフリカーナーの文化の中心には、アフリカーンス語とオランダ改革派教会があります。アフリカーンス語は、オランダ語を基に、現地語や他のヨーロッパ言語の影響を受けて発展した言語です。オランダ改革派教会は、アフリカーナーの生活や社会に深く関わっており、彼らのアイデンティティ形成に重要な役割を果たしてきました。

著名人

アフリカーナーからは、多くの著名人が輩出しています。スポーツ選手、芸術家、政治家など、多様な分野で活躍する人々がいます。中でも、アパルトヘイトに反対した活動家や、アパルトヘイト政策を推進した政治家など、歴史的にも重要な人物がいます。

まとめ

アフリカーナーは、複雑な歴史を持つ民族集団です。ヨーロッパからの移民として始まり、アパルトヘイトという暗い歴史を経て、現在に至っています。彼らの歴史、文化、そしてアパルトヘイトとの関わりを理解することは、南アフリカの歴史と社会を理解するために不可欠です。

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