ナスラック

ナスラック株式会社は、愛知県名古屋市中区に本社を構える住宅設備メーカーです。システムキッチン、洗面化粧台、収納家具、室内建具、内装建材といった住宅関連製品の製造・販売を手掛けており、現在は同じく名古屋市中区に本社を置く東建コーポレーションのグループ企業となっています。

沿革

ナスラックの歴史は、1960年（昭和35年）に日本冶金工業の子会社である株式会社ナスステンレス製作所が設立されたことに始まります。当初は資本金1億円でスタートし、神奈川県鎌倉市に工場用地を取得しました。翌1961年には大船工場（現在のNAS鎌倉工場）が完成し、ステンレス流し台の生産を開始。1962年には三菱商事を総代理店に迎え、「日本冶金ナス流し台」として販売を本格化しました。初期の製品である流し台「S型」などがグッドデザイン商品に選ばれるなど、デザイン面でも評価を得ています。その後も工場の拡張や増資を重ね、製品ラインナップを拡充。1972年にはステンレス浴槽の生産も始めました。

現法人であるナスステンレス株式会社は、1975年（昭和50年）に設立されました。日本冶金の直系子会社として、ステンレス製の流し台や浴槽をはじめとする住宅設備機器の製造販売を展開。しかし、1990年代のバブル崩壊後、業績の低迷が続きました。日本冶金工業が採算の取れない系列事業の見直しを進める中で、2003年（平成15年）には再生ファンドであるベーシック・キャピタル・マネジメントへ事業が譲渡されることとなります。

転機が訪れたのは2005年（平成17年）4月です。ベーシック社が、東建コーポレーションの子会社である東建リーバにナスステンレスの全株式と債権を売却。これによりナスステンレスは東建グループの一員となり、社名を東建ナスステンレス株式会社に変更しました。2007年（平成19年）6月1日には、現在のナスラック株式会社へと社名が改められます。そして、2008年（平成20年）11月に東建リーバと合併し、現在に至っています。

製品と技術

創業以来、ステンレス加工技術を基盤に流し台や浴槽を製造してきましたが、時代と共にシステムキッチン、洗面化粧台、収納家具、室内建具、内装建材へと製品分野を広げてきました。特にシステムキッチンや洗面化粧台は主力製品であり、これまでに多くの製品がグッドデザイン商品に選定されています。また、浴槽やキッチンユニット、洗面化粧台などは建設省優良住宅部品（BL）に認定されており、品質面でも高い評価を受けています。

技術開発にも積極的で、1997年には業界で初めて抗菌ステンレスシンク「ビーナスシンク」を開発・販売。1998年にはステンレスキャビネットキッチンの製法特許を取得しています。2000年には国際規格であるISO9001の認証を取得するなど、品質管理体制を強化しました。2002年にはキッチンに内蔵できる生ごみ処理機を業界で初めて発売するなど、ユニークな製品も生み出しています。近年では、住空間のトータルデザインシステム「ナストピアTLD」や、耐震・制震金物「シェルワイド」といった技術も提供しています。

事業エリアと工場

かつてはほぼ全国に営業拠点を展開していましたが、現在は事業エリアを見直し、北海道、四国、九州、沖縄、および東北地方のうち宮城県を除く地域からは撤退しています。

国内には5つの製造拠点があります。これらの工場では、一般消費者向けの住宅設備機器に加え、親会社である東建コーポレーションが手掛ける建築用の資材や住設機器も生産しています。

NK深谷工場（埼玉県深谷市）
千葉シスコ工場（千葉県八街市）
NAS鎌倉工場（神奈川県鎌倉市）
シェルル神戸工場（兵庫県神戸市）
* 出雲ダンタニ工場（島根県出雲市）

その他

過去には女優の釈由美子氏がイメージキャラクターを務め、CMに出演していました（2006年〜2009年）。また、ナスピィやナスリンといったマスコットキャラクターも存在します。テレビ番組の提供スポンサーとなった時期もあり、日本テレビ系列の「歌のチャンピオン」「スター誕生！」「金曜ロードショー」「笑点」などでその名を見ることができました（これらは全て過去の提供番組です）。

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