ナチェス (給油艦)

ナチェス (USS Neches, AO-5) の概要

ナチェスは、アメリカ海軍の給油艦であり、テキサス州を流れるナチェス川にちなんで名付けられました。1919年に起工され、1920年に進水・就役しました。初めての艦長はH・T・メリウェザー大佐で、就役後は第17燃料船として、西海岸及び大西洋艦隊の演習に参加しました。

ナチェスはボストンを拠点に、燃料供給や標的の曳航など多様な任務を遂行しました。特に、テキサス州のポートアーサーへの航海が何度か行われ、重油やガソリンの積み込みが行われました。1922年以降は、艦は西に回航された後、サンディエゴを新たな母港として、太平洋艦隊付属のタンカーとして活動しました。1941年にかけて、ナチェスはパナマ運河を通じてカリブ海とハワイを何度も往復し、太平洋艦隊の全般支援に従事しました。

真珠湾攻撃とウェーク島への出動

1941年12月8日、真珠湾攻撃の最中、ナチェスはサンディエゴから真珠湾に向かっていました。10日に到着すると、早速燃料や物資を陸揚げし、同時にウェーク島を巡る緊急支援のため出動する準備が整えられました。ウェーク島では日本艦隊が進攻し、守備隊は必死の抵抗を続けていました。

救援部隊が編成され、ナチェスは水上機母艦タンジールと共に出発しましたが、最終的には高官による指示により、攻撃支援の計画は取り消されました。ウェーク島の守備隊の窮状はその後改善されることなく、日本軍に降伏することとなります。

魚雷攻撃と沈没

1942年1月22日、ナチェスはウェーク島攻撃のため第11任務部隊と共に真珠湾を出撃しましたが、翌23日の早朝に、日本の潜水艦による攻撃を受け、魚雷が艦船の機関室に命中します。ナチェスは機関室に大量の海水を取り込み、著しい傾きを見せ、最終的には沈没しました。沈没地点はホノルルから135海里の位置でした。

ナチェスの沈没は、真珠湾攻撃による作戦上の影響をもたらし、他の艦艇にとっても大きな損失と見なされました。代替の給油艦が不足していたため、第11任務部隊のウェーク島攻撃は中止となり、艦隊は真珠湾に引き返さざるを得ませんでした。

最後に

ナチェスの沈没から1カ月後の1942年2月24日、ウィリアム・ハルゼー中将の指揮する第16任務部隊が初めてウェーク島の日本軍に攻撃を行うことになり、ナチェスの存在がいかに重要であったかが再認識されました。ナチェスの歴史は、アメリカ海軍の中での艦艇の役割と、戦争そのものの流れを変えた出来事を示しています。

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