ナチ党勤続章

ナチ党勤続章：総統と国民への忠誠を称える勲章

ナチ党勤続章は、国家社会主義ドイツ労働者党（ナチ党）が、長年にわたり党に貢献した党員に授与した勲章です。アドルフ・ヒトラーの命令により1939年に制定され、1940年1月30日に最初の授与が行われました。この勲章は、党員としての忠誠心と献身を称えるものであり、ナチ党のイデオロギーを体現するものでもありました。

等級とデザイン

ナチ党勤続章は、勤続年数に応じて以下の3つの等級に分かれていました。

10年勤続章（銅章）: 銅色で、ダークブラウンのリボンに白いストライプが入っています。
15年勤続章（銀章）: 銀メッキと紺色のエナメルで装飾され、青色のリボンにシルバーグレーのストライプが入っています。
25年勤続章（金章）: 金メッキと白のエナメルで装飾され、赤色のリボンに白と金色のストライプが入っています。

各章の裏面には、『Treue für Führer und Volk（総統と国民への忠誠のため）』という碑文が刻まれていました。また、勲章のデザインは、僅かに湾曲した4つの腕部を持つ『名誉十字』の形をしており、中央にはオークの葉の花輪を掴んだ国家鷲章が配置されています。

授与条件

ナチ党勤続章は、原則として途切れることなく党に勤続した党員に授与されました。ただし、以下の場合は例外として勤続年数が途切れないものと見なされました。

2年以下の兵役への従事
スペイン内戦（1936年から1939年）への従軍
1939年9月以降のドイツ国防軍への兵役期間

特筆すべき点として、ナチ党の存続期間は25年（1920年～1945年）でしたが、1925年から1933年までの間にナチ党に所属していた党員は古参闘士として優遇され、勤続年数が2倍で換算されました。そのため、1945年以前に25年勤続金章を受章した党員も存在しました。

略綬

党勤続章は、通常の勲章と同様に、略綬（りゃくじゅ）として着用することもできました。略綬は、勲章本体の代わりに着用できる、簡略化されたリボンのことです。党勤続章の略綬は、各等級ごとに色が異なり、オークの花輪に包まれた国家鷲章が取り付けられていました。女性党員の場合は、ネックレスのように首から下げる15mmのリボンが用意されていました。

まとめ

ナチ党勤続章は、ナチ党の党員としての忠誠心と献身を称えるための勲章であり、そのデザインや授与条件には、ナチ党のイデオロギーが反映されていました。この勲章は、ナチス・ドイツの歴史を理解する上で、重要な要素の一つと言えるでしょう。

参考文献
Ailsby, Christopher (2003). A Collector's Guide To: World War 2 German Medals and Political Awards. Ian Allan Publishing, Inc. ISBN 9780711021464
Angolia, John (1987). For Führer and Fatherland: Military Awards of the Third Reich. R. James Bender Publishing. ISBN 0912138149
Angolia, John (1989). For Führer and Fatherland: Political & Civil Awards of the Third Reich. R. James Bender Publishing. ISBN 978-0912138169
Doehle, Heinrich (1995). Medals & Decorations of the Third Reich: Badges, Decorations, Insignia. Reddick Enterprises. ISBN 0962488348

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