ナッシング・バット・トラブル

『ナッシング・バット・トラブル』（原題：Nothin' But Trouble）は、ジョン・サイクス率いるハードロックバンド、ブルー・マーダーが1993年にリリースした2枚目のスタジオアルバムです。

アルバムの背景

このアルバムは、前作『ブルー・マーダー』（1989年）からメンバーが大きく変動した中で制作されました。中心人物であるジョン・サイクスと、前作でサポートキーボーディストとして参加したニック・グリーン以外のメンバーは新しくなりました。しかし、レコーディングには、元メンバーのトニー・フランクリンとカーマイン・アピスがアディショナル・ミュージシャンとして参加しており、前作からの流れを汲むサウンドが展開されています。

当初、ケリー・キーリングが専任ボーカリストとして加入しましたが、最終的にはサイクス自身がほとんどの曲でボーカルを担当することになりました。キーリングはアルバムリリース前に脱退し、後にジョン・ノーラムのバンドに加入しています。

反響と評価

アメリカでは、収録曲「ウィ・オール・フォール・ダウン」がビルボードのメインストリーム・ロックチャートで35位を記録しましたが、アルバム自体はチャートインを逃しました。しかし、日本ではオリコンチャートで6週トップ100入りし、最高6位を記録するヒットとなりました。このアルバムは、日本で特に高い評価を得たことがわかります。

音楽評論家の間でも、このアルバムは好意的に評価されています。『CDジャーナル』のミニレビューでは、「メロディアスでR&Bのグルーヴも持った英ハードロックの王道路線サウンドは不変だ」と評されており、その音楽性が高く評価されています。

収録曲について

このアルバムには、ジョン・サイクスが作詞作曲した楽曲の他、スティーブ・マリオットとロニー・レインによるカバー曲「イチクー・パーク」が含まれています。以下が収録曲リストです。

1. ウィ・オール・フォール・ダウン - "We All Fall Down" - 4:46
2. イチクー・パーク - "Itchycoo Park" - 3:49
3. クライ・フォー・ラヴ - "Cry for Love" - 6:57
4. ランナウェイ - "Runaway" - 5:58
5. ダンス - "Dance" - 4:08
6. アイム・オン・ファイア - "I'm on Fire" - 4:46
7. セイヴ・マイ・ラヴ - "Save My Love" - 4:50
8. ラヴ・チャイルド - "Love Child" - 5:29
9. シュドゥント・ハヴ・レット・ユー・ゴー - "Shouldn't Have Let You Go" - 4:10
10. アイ・ニード・アン・エンジェル - "I Need an Angel" - 7:03
11. シー・ノウズ - "She Knows" - 3:41
12. バイ・バイ - "Bye Bye" - 4:16（日本盤ボーナス・トラック）

参加ミュージシャン

このアルバムには以下のミュージシャンが参加しています。

ジョン・サイクス - ボーカル、ギター
ケリー・キーリング - ボーカル(on #6)、バックグラウンド・ボーカル
ニック・グリーン - キーボード
マルコ・メンドーサ - ベース
トミー・オスティーン - ドラムス、バックグラウンド・ボーカル

アディショナル・ミュージシャンとして、以下のメンバーも参加しています。

トニー・フランクリン - ベース
カーマイン・アピス - ドラムス

まとめ

『ナッシング・バット・トラブル』は、ブルー・マーダーの音楽性を深く理解する上で欠かせない作品です。メンバーチェンジを経ながらも、ジョン・サイクスの確かな音楽性と、新旧メンバーの融合によって生まれたサウンドは、聴く者を魅了します。アメリカでのチャート入りこそ逃したものの、日本では大きな成功を収め、その音楽性は今もなお多くのファンに愛されています。

外部リンク

ナッシング・バット・トラブル - Discogs (発売一覧)

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