ナッシン・ファンシー

『ナッシン・ファンシー』は、アメリカのロックバンド、レーナード・スキナードが1975年にリリースした3枚目のスタジオアルバムです。当初、日本盤LPは『ロック魂』というタイトルで発売されましたが、CD化以降は原題の『ナッシン・ファンシー』として知られています。

このアルバムは、ドラマーのボブ・バーンズの脱退後、アーティマス・パイルを新メンバーに迎えて制作されました。レコーディングは1975年1月が中心ですが、「サタデイ・ナイト・スペシャル」は前年の8月には録音済みでした。プロデューサーは前作に引き続きアル・クーパーが担当しましたが、制作中にバンドとクーパーの関係が悪化し、本作を最後に袂を分かつことになります。アレン・コリンズは当時、クーパーがグランド・ファンクのようなアイデアを押し付けようとしたと語っています。

アルバムリリース後の1975年5月には、ギタリストのエド・キングがバンドを脱退します。キングは後に、当時のマネージャーがロニー・ヴァン・ザントにしか関心を持たず、バンド全体を理解していなかったと述べています。しかし、キングは1987年の再結成に参加し、リマスターCDには、キング在籍時の1975年4月27日に録音されたライブ音源2曲がボーナストラックとして追加収録されました。

『ナッシン・ファンシー』は、Billboard 200で9位を獲得し、バンドにとって初の全米トップ10アルバムとなりました。1975年6月にはRIAAによってゴールドディスクに、1987年7月にはプラチナ認定を受けています。シングルカットされた「サタデイ・ナイト・スペシャル」はBillboard Hot 100で27位を記録しました。また、イギリスでは全英アルバムチャートで43位となり、初の全英チャート入りを果たしています。

オールミュージックのStephen Thomas Erlewineは、本作を5点満点中3点と評価し、以前の作品と比較して、バンドがツアーを通じてヘヴィさを増し、1970年代中期のヘヴィ・アルバム・ロック・バンドと同傾向になった点を指摘しています。また、収録曲の多くでロニー・ヴァン・ザントのボーカルが絶好調であると評価しています。

収録曲は、「サタデイ・ナイト・スペシャル」、「チーティン・ウーマン」、「レイルロード・ソング」、「アイム・ア・カントリー・ボーイ」、「オン・ザ・ハント」、「アム・アイ・ルージン」、「メイド・イン・ザ・シェイド」、「ウィスキー・ロック・ア・ローラー」の8曲に加え、リマスターCDには「レイルロード・ソング（ライヴ）」と「オン・ザ・ハント（ライヴ）」がボーナストラックとして収録されています。

参加ミュージシャンは、ロニー・ヴァン・ザント（ボーカル）、ゲイリー・ロッシントン（ギター）、アレン・コリンズ（ギター）、エド・キング（ギター）、ビリー・パウエル（キーボード、ピアノ）、レオン・ウィルクソン（ベース、バッキング・ボーカル）、アーティマス・パイル（ドラムス、パーカッション、タンブリン）です。アル・クーパー、ジミー・ホール、ボビー・ホール、バリー・ハーウッド、デイヴィッド・フォスターも、アディショナル・ミュージシャンとして参加しています。

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