ナトゥナ諸島

ナトゥナ諸島

ナトゥナ諸島は、南シナ海南部に位置するインドネシア領の諸島群です。157もの島々から構成され、カリマンタン島の北西に広がっています。リアウ諸[[島州]]に属しており、最大の島は大ナトゥナ島です。南部は南ナトゥナ諸島とも呼ばれ、広義にはアナンバス諸[[島]]やタンベラン諸島を含むこともあります。

地理と人口

諸島の総人口は約6万9千人です。大小さまざまな島々が点在し、その多様な地形が特徴です。中心となる大ナトゥナ島は、行政の中心地としての役割も担っています。

産業

この地域では、天然ガス、漁業、農業が主要な産業です。特に、東ナトゥナガス田は世界最大級の埋蔵量を誇り、インドネシア経済において重要な役割を果たしています。観光業はまだ発展途上ですが、豊かな自然を生かした観光開発の潜在力も秘めています。

南シナ海領有権問題

近年、ナトゥナ諸島周辺海域は、南シナ海における領有権問題の影響を大きく受けています。インドネシアが設定した排他的経済水域（EEZ）と、中国が主張する九段線が一部重複しており、両国間の係争海域となっています。

インドネシアの対応

インドネシアは、自国のEEZを保護するため、大ナトゥナ島に海上保安機構の基地を設置し、24時間体制で周辺海域の監視を行っています。また、中国漁船による違法操業や、中国の主張に対抗するため、軍事力の増強を進めています。

• - 軍事力の強化：海軍艦船、特殊部隊、空軍戦闘機などを配備し、駐留兵力を大幅に増強しています。また、レーダー監視施設や滑走路の拡張工事も進められています。
• - 海域の名称変更：諸島の北部海域を「北ナトゥナ海」と改称し、自国の主権を主張しています。

中国の動向

中国は、ナトゥナ諸島周辺海域における歴史的権利を主張し、インドネシアのEEZを侵害する行動を繰り返しています。中国漁船がインドネシアに拿捕された際には、武装艦を派遣して漁船を奪還するなどの強硬な姿勢を示しています。また、海底油田・天然ガス田の掘削調査に対しても「主権侵害」と抗議しています。

国際的な関与

日本政府も、南シナ海における中国の海洋進出を牽制するため、ナトゥナ開発への支援を表明しています。また、インドネシアは中国を国際司法裁判所に提訴することも検討するなど、国際社会の協力を得ながら、問題解決を図ろうとしています。

両国間の緊張

中国は、政府レベルでは「ナトゥナ諸島の主権はインドネシアに属しており、中国が異議を示したことはない」としながらも、メディアでは「ナトゥナ諸島は歴史的に中国の支配下にあった」と報じています。2019年には、中国漁船団が中国海警局の警備艇を伴ってナトゥナ諸島近海で操業し、インドネシアとの間で緊張が高まりました。

インドネシアは、2020年までに軍艦や戦闘機を増派し、周辺海域の哨戒を強化しています。

まとめ

ナトゥナ諸島は、豊かな資源を持つ重要な地域である一方で、南シナ海の領有権問題によって国際的な緊張が高まっている場所でもあります。インドネシアは、領土と資源を守るために軍事力を増強し、国際社会との連携も模索しながら、問題解決に取り組んでいます。

もう一度検索