ナポリ国立考古学博物館

ナポリ国立考古学博物館（Museo Archeologico Nazionale di Napoli, MANN）は、イタリアのナポリに位置する、世界的に著名な国立考古学博物館です。特に、ポンペイやヘルクラネウムといった古代都市の出土品、そしてファルネーゼ・コレクションの収蔵で知られています。これらのコレクションは、古代ギリシア美術、ローマ美術の分野において非常に重要な位置を占めています。

主な収蔵品

博物館の主な収蔵品としては、ファルネーゼ・コレクションが挙げられます。これには、巨大な彫刻『ファルネーゼの雄牛』や、精緻な装飾が施された『ファルネーゼの皿』などが含まれます。また、ポンペイで発見されたモザイク画『アレクサンドロスのモザイク』は、アレクサンドロス大王の姿を鮮やかに描写しており、その芸術性の高さから世界的に高く評価されています。

展示は、1階がファルネーゼ・コレクション、中2階と2階がポンペイとヘルクラネウムからの出土品、そして地下には古代エジプトの遺物が展示されています。特に注目すべきは、「秘密の小部屋」と呼ばれる展示室です。ここには、ポンペイやヘルクラネウムから出土したエロティックな芸術作品が数多く展示されており、当時の生活や文化の一面を垣間見ることができます。

歴史

博物館の建物自体もまた、歴史的な変遷を辿ってきました。1585年に騎兵隊の兵舎として建てられた後、1615年からはナポリ大学の建物として使用されました。18世紀に入ると、ブルボン朝のカルロ（スペイン王としてはカルロス3世）がナポリ国王となり、母方のファルネーゼ家のコレクションを展示するためにカポディモンテ美術館の建設を計画しました。同時に、ポンペイやヘルクラネウムで発掘された出土品を展示する場として、ポルティチ宮殿に考古学博物館を構想しました。

カルロの子であるフェルディナンド4世は、この構想を引き継ぎ、1777年にポルティチ宮殿の代わりにこの建物を考古学博物館として開館しました。その後、1816年に両シチリア王国が成立したことで、「ブルボン王立博物館」と改称されました。1860年にイタリアが統一されると、国立博物館として再編され、今日に至るまで考古学研究の中核を担っています。

関連情報

博物館の周辺には、ポンペイ、ヘルクラネウム、トッレ・アンヌンツィアータといった遺跡地域があり、これらの場所も訪れることで古代ローマ時代の生活や文化をより深く理解できます。

また、ポンペイの壁画の様式や古代ギリシアの彫刻など、博物館の収蔵品と関連する分野を学ぶことで、より深く美術史を理解することができます。

近隣にはカポディモンテ美術館もあり、こちらも合わせて訪れることで、美術史における幅広い知識が得られます。

公式サイト

公式ウェブサイト


ナポリ国立考古学博物館は、古代美術を愛する人々にとって必見の場所です。歴史的な建物とともに、その収蔵品が語る古代の物語をぜひ体験してください。

もう一度検索