ナミスジシマドジョウ

ナミスジシマドジョウとは

ナミスジシマドジョウ（Cobitis striata）は、日本にのみ生息するシマドジョウの一種です。以前はスジシマドジョウの中型種と呼ばれることもありましたが、現在ではその名を持つ独特の種として認識されています。元の産地は香川県高松市であり、日本全土で多様な環境に適応して生息しています。

分布

ナミスジシマドジョウの生息地は非常に広範囲にわたります。本州では、瀬戸内海流域のいくつかの河川で見ることができ、特に和歌山県の北部、奈良県北西部、京都府南部、大阪府、兵庫県南部、岡山県南部、広島県、そして山口県南東部が含まれます。また、日本海側では島根県中部の河川でも観察されています。四国では、重信川水系を越えた愛媛県北部や桑野川水系の徳島県、そして香川県に生息し、さらに九州の福岡県や大分県の中津平野でも見られます。

形態

この魚は全長がおよそ6から9cmほどで、非常に小柄な体型をしています。特徴的なのは、第二口髭の長さが目の直径と同じくらいであることです。体表には円形の骨質盤があり、尾鰭には2から4列の明確な弓状横帯が存在します。胸鰭の第1分枝軟条の上片は比較的細く、体側には3から5列の横帯があり、これが点の列となることもあります。また、胸鰭と腹鰭の間の筋節数は通常13から14です。卵は直径1.0mmの大きさです。

生態

ナミスジシマドジョウは主に河川の中流から下流、また農業用水路のような緩やかな流れの砂泥底の場所にて生活しています。この魚は特に水温が高まる5月から7月ごろに繁殖期を迎え、その際には小溝や湿地に移動して夜間に卵を産む事で知られています。ナミスジシマドジョウは通常2年以上の寿命があり、主にデトリタスや底に生息する小動物を食料としています。

地方名

この魚には地域によって異なる呼び名が存在します。岡山県では「ヤナギドジョウ」や「スナドジョウ」という名前で呼ばれることがあり、山口県では「スナムグリ」、四国では「ササドジョウ」や「カワドジョウ」という名前の混称があります。このような地方名は地域の文化や生態と深く結びついています。

下位分類

ナミスジシマドジョウは3つの亜種に分類されています。最初の亜種はチュウガタスジシマドジョウ（Cobitis striata striata）であり、本種の基亜種として位置づけられています。分布は本州と四国の一部、さらに九州にわたる広域です。この亜種は口髭が短く、全体的にやや大きめですが、残念ながら絶滅危惧II類に指定されています。

次に、オンガスジシマドジョウ（Cobitis striata fuchigamii）は福岡県の遠賀川水系に特有の亜種であり、口髭が長い特性がありますが、現在では絶滅危惧IA類に指定されています。

最後に、ハカタスジシマドジョウ（Cobitis striata hakataensis）は、博多湾に流入する3つの河川に見られ、絶滅危惧IA類に指定されています。これらの亜種はすべて、希少な生物として保護が求められています。

結論

ナミスジシマドジョウは、その美しい外見や生態から非常に興味深い魚であり、日本の水環境の重要な一部を形成しています。地域に応じた異名や絶滅危惧の状況を考慮しながら、この魚を守り、次の世代へと引き継ぐ必要があります。

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