重信川

重信川（しげのぶがわ）

重信川は、愛媛県中予地方を流れる一級河川であり、重信川水系の本流をなしています。その源を東三方ヶ森に発し、東温市付近を扇頂として、広大な扇状地である道後平野を形成しています。

地理

高縄半島の東三方ヶ森（標高1233m）南麓に源を発し、南へと流れます。東温市見奈良からは西向きに流れを変え、松山平野（道後平野）を潤しながら、松山市と伊予郡松前町の境界を成し、伊予灘へと注ぎます。河川長は短いものの、高低差が大きいため、しばしば洪水に見舞われてきました。一方で、河床は砂礫層で、伏流水が豊富であるため、流域では湧水が灌漑などに利用されてきました。河口部は、西日本有数の渡り鳥の飛来地としても知られています。

源流点

2012年の調査により、重信川の源流は東三方ヶ森山頂から東北東約500mの地点にある石積堰堤と特定されました。正確な位置は、標高1000メートル、北緯33度54分17秒、東経132度57分55秒（西条市丹原町田滝）です。

歴史

重信川は、典型的な扇状地河川であり、普段は伏流水となっているため水量が少ないように見えますが、降雨時には一気に伏流水が溢れ出し、水害を引き起こすことがありました。

過去には、以下のような水害が発生しています。

1933年7月：台風12号による水害。氾濫面積は2000町歩、堤防決壊8箇所に及びました。
1976年9月：台風17号による水害。支流の石手川河川敷上の住宅12戸が流出し、堤防が4箇所欠損しました。

2017年には、「重信川河口域の湿地環境保全 ～高校生の取り組み～」が、平成29年度手づくり郷土賞を受賞しています。

名称の由来

かつて「伊予川」と呼ばれていたこの川は、度重なる氾濫に悩まされていました。文禄・慶長年間に、松山城主であった加藤嘉明が、家臣の足立重信に石手川とともに改修を命じました。重信川については、森松付近から流路を北に寄せ、伊予灘に直接流れ込むように変更しました。また、石手川は南西方向に流路を変え、現在の出合と呼ばれる地点で重信川に合流するようにしました。これらの改修工事により、伊予川の氾濫は収まり、その功績を称え、人々はこの川を「重信川」と呼ぶようになりました。河川名に個人の名前が付けられるのは、日本国内では大変珍しいとされています。

流域の自治体

重信川の流域には、以下の自治体が含まれています。

愛媛県：西条市、東温市、松山市、伊予郡砥部町、松前町

環境

流域では、地元小学生による清掃活動が行われており、特に北吉井小学校では5回の清掃活動が行われました。南吉井小学校も積極的に活動に参加しています。河口部には広大な干潟が広がり、シギやチドリなどの渡り鳥にとって重要な生息地となっています。

主な支流

重信川には、以下の支流が流れ込んでいます。

石手川：松山市
小野川：松山市
内川：東温市、松山市
悪社川：松山市
砥部川：伊予郡砥部町
御坂川：松山市
拝志川：東温市
井内川：東温市
表川：東温市
本谷川：東温市

主な橋梁

重信川には、以下の橋梁が架けられています。

川口大橋（愛媛県道22号伊予松山港線）
出合橋（愛媛県道326号松山松前伊予線）
出合大橋（国道56号線）
中川原橋（愛媛県道16号松山伊予線）
重信高架橋（松山自動車道）
重信大橋（国道33号線）
重信橋（愛媛県道194号久谷森松停車場線）
久谷大橋（愛媛県道40号松山東部環状線）
上村大橋
拝志大橋（愛媛県道209号美川松山線）
上重信橋
重信川橋（松山自動車道）
見奈良大橋
横河原橋（愛媛県道334号松山川内線）
新横河原橋（国道11号線）
大畑橋
御所橋
麓橋
藤之内橋（愛媛県道152号寺尾重信線）

並行する交通

重信川に並行して、以下の交通機関が通っています。

鉄道：伊予鉄道横河原線
道路：国道11号、松山自動車道

流域の観光地

重信川流域には、以下の観光地があります。

西林寺
杖ノ淵公園
* 松山中央公園野球場（坊っちゃんスタジアム）

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