ナメル (航空機)

ナメル戦闘機について

ナメル（ヘブライ語: נמר‎、英語: Nammer）は、イスラエルのイスラエル・エアロスペース・インダストリーズによって開発された試作戦闘機です。この機体は1980年代後半に開発が始まり、イスラエルの既存戦闘機クフィルのアップグレード版として設計されました。特に、キャンセルされたラビ（Lavi）の技術が取り入れられている点が大きな特徴です。

当初、ナメルはミラージュIIIおよびミラージュ5のアップデート計画として登場しましたが、次第に独自の設計が進められ、最終的には新型機体としての製造が提案されました。このプロジェクトでは、ヘリコプターや航空機に多く使用されるスネクマ アターエンジンの後期型9K50を基にした空対空型が考えられましたが、さらに高性能なエンジンゼネラル・エレクトリック F404への換装も検討されました。

ナメルは、競合機であるF-16Cやミラージュ2000に対抗し、その価格が競合機の半額となることを目指しました。生産を開始するには最低でも80機の受注が必要とされ、最初の顧客にはエンジンの選択肢としてスネクマM53やF404、ラビに使われたプラット・アンド・ホイットニーPW1120も提示されました。しかし、受注が得られず、結局このプロジェクトはラビ同様に中止されることとなりました。

機体の特徴

ナメルの外観はクフィル C7に類似していますが、その特徴的な点は機首が長くなっていることと、尾翼の下方にドーサルフィンが欠けていることです。これにより、ナメル独自の姿勢と形状を持つ機体となっています。

諸元

• - 乗員: 1名
• - ペイロード: 6,270kg
• - 全長: 16m
• - 全高: 4.55m
• - 翼幅: 8.22m
• - 翼面積: 34.8m²
• - 最大離陸重量: 15,450kg

動力性能

• - エンジン: 各種 (80 - 90kN) × 1
• - 燃料搭載量: 3,000kg・機外燃料タンク3,720kg
• - 最大速度: マッハ2.2
• - 航続距離: 1,382km
• - 実用上昇限度: 19,300m

武装

ナメルは、空対空能力を持つために以下のような武装を装備しています。

• - 固定武装: DEFA 550 30mm 機関砲（両翼に2門）
• - アビオニクス: EL/M-2032|EL_M-2032レーダー

このように、ナメルはその先進的な設計とコストパフォーマンスの良さを謳歌するものの、実際には商業的成功を収めることができませんでした。この試作機は、イスラエルの航空戦力における技術革新の一例として、歴史に名を刻む存在となっています。

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