イスラエル・エアロスペース・インダストリーズ

イスラエル・エアロスペース・インダストリーズ（IAI）は、イスラエルを代表する航空宇宙企業であり、同国の防衛産業において中心的な役割を担っています。1953年に設立された同社は、当初イスラエル・エアクラフト・インダストリーズという名称でしたが、事業領域の拡大に伴い、2006年に現在の社名に変更されました。

IAIは、軍用機や民間機の開発・製造、ミサイル開発、アビオニクスシステム開発など、幅広い事業を展開しています。従業員数は2007年時点で16,000人を超え、イスラエル経済に大きな貢献をしています。

民間航空機事業: IAIは、アラバやウェストウィンドといった自社開発の民間機に加え、ガルフストリーム社のビジネスジェット機の製造も請け負っています。さらに、ボーイング737、747、767、777、エアバスA330といった既存機の貨物機への改修など、航空機改修事業も重要な事業柱です。民間機向けの対空攻撃防御システム「フライト・ガード」も開発しています。

軍用機事業: IAIは、イスラエル国防軍向けの軍用機の開発・製造において長年の実績を誇ります。ネシェル、クフィルといった戦闘機から、無人航空機（UAV）の開発、製造も手掛けています。IAI製UAVは、世界各国で採用されており、その高い性能と信頼性から高い評価を得ています。また、ミラージュ5、F-5E+、MiG-21といった既存戦闘機の改修や、ボーイング767をベースとした空中給油機の開発、ガルフストリームG500/550をベースとした電子戦機や早期警戒機の開発など、多岐にわたる事業を展開しています。

ミサイル事業: IAIは、弾道ミサイル、地対空ミサイル、対艦ミサイル、対戦車ミサイルなど、多様なミサイルシステムを開発・製造しています。アロー弾道弾迎撃ミサイルや、ラファエル社との共同開発によるバラク艦対空ミサイルシステムなどは、世界的に高い評価を得ています。

宇宙事業: IAIは、人工衛星や宇宙ロケットの開発・製造も手掛けています。EROS、AMOSといった商用人工衛星や、オフェクといった偵察衛星などを開発しており、宇宙技術分野でも高い技術力を有しています。シャヴィトロケットは、IAIの宇宙開発能力を象徴する技術です。

艦艇事業: IAIのRAMTA部門は、哨戒艇の開発・製造も行っており、ダブール級、ドヴォラ級、スーパードヴォラ級といった哨戒艇は、イスラエル海軍で活躍しています。

その他: IAIは、RAMTA部門による装甲車の開発や、対空機関砲の製造など、多様な事業を展開しています。デンマーク国鉄IC3型気動車の組み立てなども行っていることから、その事業規模の大きさがわかります。

IAIは、イスラエル国防軍との緊密な連携のもと、高度な軍事技術を開発し、イスラエルの安全保障に貢献しています。同時に、民間航空機や宇宙開発、民生用製品の開発にも積極的に取り組み、国際的な競争力を強化しています。その技術力と国際的な実績は、同社が世界的な航空宇宙企業としての地位を確立していることを示しています。IAIは、今後もイスラエルの防衛産業を牽引し、世界的な航空宇宙技術の進歩に貢献していくでしょう。

もう一度検索