ナラティーハパテ

ナラティーハパテの生涯とその影響

ナラティーハパテ（1238年4月23日 - 1287年7月1日）は、ミャンマーの歴史において重要な役割を果たしたパガン朝の第11代国王であり、彼の治世は王国の衰退と内外の変動を象徴しています。彼は1256年に即位し、正式名称はシュリー・トリブワナ・アーディトラ・パワラ・ダンマラージャとされますが、一般にはナラティーハパテという名で広く知られています。彼の別名にはシードゥーやタルクプリもあり、様々な文献でその名が記されています。

治世の始まり

ナラティーハパテが即位した際、既にパガン朝は過去の栄光から衰退の道を辿る兆候を見せていました。彼が即位してからは、歴代の王に倣って寺院の建設に力を入れたものの、当時の政治は無関心であり、国の運営は劣化していきました。状況は厳しく、王国の統治に必要な権威や力が失われつつあったとされています。

元との対立

1260年代には、元朝の皇帝クビライが皇帝として即位し、周辺国に服属を求めました。ナラティーハパテはこの要求を頑なに拒否し、これが後の悲劇を引き起こす一因となりました。元の軍事力は強大であり、パガン軍は戦闘において彼らに対抗することができませんでした。このため、1277年にはンガサウジャンの戦いで大敗を喫し、1283年には首都が元軍の手に落ちてしまいます。

最後の抵抗と悲劇の結末

首都を失ったナラティーハパテは、1287年に抵抗を断念し、ついにクビライに降伏することを決意します。しかし、降伏した後も彼の運命はさらに過酷なものでした。都に戻る途中、自身の息子によって命を奪われてしまったのです。この悲劇的な出来事は、彼の死によってただの王の衰退ではなく、家族の間での権力闘争の深刻さをも印象付けるものとなりました。

影響と評価

ナラティーハパテの治世を通じて、パガン朝は内外の圧力にさらされ、結果としてその歴史のある一章が閉じられたと言われています。彼の人生は、ひとつの王国の崩壊と、時代の流れがどのように個人の運命に影響を与えるかを考えさせる事例として記憶されています。彼の治世は、寺院建設に貢献したものの、最終的には国家が抱える内部の問題と外部の脅威に屈服してしまったことを示しています。ナラティーハパテの存在は、この時代の混乱を象徴しており、彼の物語は歴史の中で色褪せることのない教訓を与えるものであります。

参考文献

• - 大野徹『謎の仏教王国パガン』（NHKブックス, 日本放送出版協会, 2002年11月）

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