ナルコユリ

ナルコユリ（鳴子百合）とは

ナルコユリ（学名: Polygonatum falcatum）は、キジカクシ科アマドコロ属の多年草で、日本各地の山野に自生しています。名前の由来は、その花が垂れ下がる様子が、鳥を追い払うための農具である「鳴子」に似ていることからきています。

ナルコユリの特徴

ナルコユリは、地下茎を横に這わせて繁殖します。茎は弓状に伸び、高さは80cm程度になります。葉は披針形で、互い違いに生えます。花期は5月頃で、葉の付け根から細い花柄を出し、その先に緑白色の筒状の花を数個垂れ下げます。

アマドコロとよく似ていますが、ナルコユリは茎に稜がなく丸いこと、地下茎の節がゴツゴツしていること、全体的に草丈が高いこと、葉が細いことなどで区別できます。

食用としてのナルコユリ

ナルコユリは、山菜として食用にされます。利用されるのは、若芽、花、地下茎です。

• - 若芽: 春の4～6月頃に採取します。茹でておひたし、和え物、炒め物、天ぷらなど、様々な料理に利用できます。舌触りが良く、グリーンアスパラガスに似た風味が特徴です。
• - 花: 初夏に摘み、さっと茹でて酢の物にすると美味しくいただけます。
• - 地下茎: 一年中採取可能です。アマドコロよりも太く、甘味があります。天ぷら、フライ、甘煮などに利用されます。

薬用としてのナルコユリ

ナルコユリの根茎は、生薬として利用されます。和黄精（わおうせい）、または黄精（おうせい）と呼ばれ、疲労倦怠、食欲不振、咳、のどの渇きなどに効果があるとされています。秋に根茎を掘り起こし、乾燥させて利用します。煎じて服用するほか、黄精酒としても利用されます。

ただし、中国で黄精と呼ばれるものは、ナルコユリとは異なる植物を指します。

江戸時代には、黄精酒が強精薬としてブームを呼んだこともあったようです。

近縁種：オオナルコユリ

ナルコユリの近縁種に、オオナルコユリ（学名: Polygonatum macranthum）があります。オオナルコユリは、草丈が2m以上になることもあり、ナルコユリよりも大型です。雪解け後の芽生えは食用にされ、ナルコユリよりも美味しいとも評されています。

ナルコユリは、食用、薬用としてだけでなく、その美しい姿でも私たちを楽しませてくれる植物です。山野で見かけた際には、ぜひその姿を観察してみてください。

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