ナルニ

ナルニ（Narni）は、イタリア共和国ウンブリア州テルニ県に位置する、人口約1万7900人のコムーネ（基礎自治体）です。古代ローマ時代からの歴史を持ち、ラテン語の旧名「ナルニア（Narnia）」としても知られています。

地理

ナルニは、テルニ県の南東部に位置しています。周囲を山々に囲まれ、緑豊かな自然に恵まれています。隣接するコムーネは、アメーリア、カルヴィ・デッルンブリア、モンテカストリッリ、オルテ（ヴィテルボ県）、オトリーコリ、サン・ジェーミニ、ストロンコーネ、テルニです。気候は温暖で、イタリアの気候分類ではzona Dに、地震リスク階級ではzona 2に分類されています。

歴史

ナルニの歴史は古代ローマ時代に遡り、紀元前299年にローマの植民地として建設されました。紀元前90年にはムニキピウム（自治都市）となり、重要な都市として発展しました。旧名のナルニアからナルニへと変化した時期は正確にはわかっていませんが、1200年から1300年頃にかけて徐々に変化し、1800年代には正式にナルニという名前が使われるようになったと考えられています。この街からは、ローマ皇帝ネルウァ、聖カッシオ、傭兵隊長ガッタメラータ、ガレオット・マルツィオ、福者ルチーア、ベルナルド・エローリなどの著名人が輩出しています。

行政

ナルニには、多くの分離集落（フラツィオーネ）があります。主なものとしては、ボルガリア、カピトーネ、チリアーノ、グアダメッロ、グアルド、イティエリ、ラ・クエルチア、モントーロ、ネーラ・モントーロ、ナルニ・スカーロ、ポンテ・サン・ロレンツォ、サン・ファウスティーノ、サン・リベラート、サンタ・ルチア、サン・ウルバーノ、サン・ヴィート、スキファノイア、スティフォーネ、タイッツァーノ、テスタッチョ、ヴィーニェなどがあります。

特にカピトーネは、かつて独立した町であり、その後ナルニに征服され、教皇国の保護下に入るなど、複雑な歴史を辿ってきました。現在では、石造りの城壁の入り口や見張り塔など、中世の面影を残す景観を見ることができます。

文化・観光

ナルニでは、様々な催しが開催されています。指輪競争、ナルニ国際フェスティヴァル、ナルニ・ブラック・フェスティヴァルなどが有名です。観光スポットとしては、以下のものがあります。

エロリ博物館（Eroli Museum）
ドゥオーモ（Duomo、大聖堂）
サンタ・マリーア・イン・ペンソレ教会（Chiesa di S. Maria in Pensole）
砦（La Rocca）
ローマ時代の橋
ベネディクト会の修道院
パラッツォ・コムナーレ（Palazzo Comunale）にあるギルランダイオの祭壇画
サンタ・プデンツィアーナ教会（Chiesa Santa Pudenziana）- ナルニ郊外にあるローマ時代の教会
フォルミア水道（L'acquedotto della Formina）
ナルニの地下（Narni Sotterranea）

特にナルニの地下は、古代ローマ時代の遺構や中世の地下空間が広がり、歴史愛好家にとって見逃せないスポットとなっています。

興味深い事実

作家C・S・ルイスは、古いイタリアの地図に書かれていたナルニのラテン語名「ナルニア」に魅せられ、自身のファンタジー小説「ナルニア国物語」の舞台の地名として採用しました。これにより、ナルニは世界的に知られるようになりました。

著名な出身者

ネルウァ - ローマ皇帝
ガッタメラータ - 14-15世紀の傭兵隊長（コンドッティエーレ）。本名はエラズモ・ダ・ナルニ


ナルニは、歴史と文化、そして自然が調和した魅力的な街です。中世の面影を残す街並みを散策したり、古代ローマ時代の遺跡を見学したりと、様々な楽しみ方ができます。また、「ナルニア国物語」のファンにとっても、特別な場所となっています。

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