ナンニ・ギャリ

ナンニ・ギャリ：イタリアが生んだ情熱のレーサー

1940年10月2日イタリア・ボローニャに生まれたナンニ・ギャリ(Nanni Galli、本名：ジョヴァンニ・ジュゼッペ・ジルベルト・ガッリ)は、モータースポーツ史に名を刻んだ才能豊かなレーシングドライバーでした。2019年10月12日、79歳でその生涯を閉じました。

彼のキャリアは、主にアルファロメオのワークスチームでの活躍が特徴的です。力強い走りと持ち前のドライビングテクニックで、数々のレースで観客を魅了しました。

スポーツカーでの栄光

ギャリの才能が開花したのはスポーツカーレースにおいてでした。1968年にはムジェロ・サーキットで優勝を飾る快挙を成し遂げます。さらに、タルガ・フローリオではイグナツィオ・ギュンティとペアを組み、2位表彰台を獲得。世界的に有名なル・マン24時間レースにも参戦し、アルファロメオ・ティーポ33/2で4位入賞という素晴らしい成績を残しました。翌1969年にはマトラの車両でル・マン24時間レースに挑み、7位で完走しています。しかし、1970年のル・マン24時間レースは、マシントラブルからの押しがけが原因で失格という悔しい結果に終わりました。

F1への挑戦と栄光への軌跡

ギャリのキャリアは、スポーツカーにとどまりませんでした。1970年、念願のF1世界選手権に地元イタリアグランプリでデビューを果たします。マシンはアルファロメオのエンジンを搭載したマクラーレンでしたが、予選落ちという結果に終わりました。その後も、アルファロメオのエンジンを搭載したマーチ711などでF1レースに参戦。1972年には新チーム・テクノに移籍し、非選手権レースであるイタリア共和国グランプリ（ヴァレルンガ）で3位表彰台を獲得するなど、F1での存在感を示しました。また、同年にはフランスグランプリで、負傷したクレイ・レガツォーニの代役としてフェラーリをドライブする機会にも恵まれました。1973年にはフランク・ウィリアムズのチームイソ・マールボロに移籍しますが、モナコグランプリを最後にF1からの引退を発表しました。

ドライバーとしての個性と才能

ギャリは、単なるドライバーとしてだけでなく、その個性と才能で多くの関係者に深く印象を残しました。パドックでサッカーをして腕を骨折したという逸話は、彼の明るい性格と、モータースポーツに対する情熱を象徴的に示しています。アルファロメオやマトラ、マーチ、テクノ、そしてフェラーリと、様々なチームで活躍した彼の経験は、まさにモータースポーツ界における貴重な財産と言えるでしょう。

惜しまれつつ幕を閉じたキャリア

ナンニ・ギャリのモータースポーツでのキャリアは、数々のドラマと成功、そして惜しまれつつ幕を閉じました。彼の功績は、数々のレースでの活躍や記録だけにとどまりません。彼の情熱、そして持ち前の明るさは、多くの人々に感動と勇気を与え続け、モータースポーツの歴史に刻まれる偉大なドライバーの一人として、これからも語り継がれていくことでしょう。

参考文献

檜垣和夫『スポーツカー・プロファイル・シリーズ6 マートラ MS620/MS630/MS650/MS660/MS670/MS680 アルピーヌ M63/M64/M65/A210/A220』（二玄社、2010年）
檜垣和夫『スポーツカー・プロファイル・シリーズ7 アルファ・ロメオ 33 33/2 33/3 33TT3 33TT12 33SC12』二玄社、2010年
* 林信次『F1全史 1971-1975』（三栄書房、1993年）

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