ナヴァリン (戦艦)

ナヴァリン戦艦概要

ナヴァリン（ロシア語: Наварин）は、ロシア帝国のバルト艦隊向けに建造された前弩級戦艦です。この艦の名前は、オスマン帝国艦隊への勝利を記念したもので、1892年には艦隊装甲艦に分類されることになりました。

設計と特徴

ナヴァリンの設計は、イギリスのトラファルガー級装甲艦に基づいており、その影響は明確です。ナヴァリンの防御装甲は、特に水線部分に重点が置かれ、406 mmの厚さに達しました。また、強力なシタデル構造を持っており、同時代の艦船に比べて優れた水平防御性能を誇りました。その結果、装甲を持たない船体の端にもかかわらず、当時この艦は砲撃に対してほぼ無敵とされました。

主砲として使用された305 mm砲は1892年までに旧式化したものの、ナヴァリンの武装配置は成功を収め、その後のロシア装甲艦の標準となりました。艦の形は中央楼型で、衝角と低い乾舷が特徴的でした。防御装甲とともに、性能の高い武装が施されたことにより、艦は多くの任務に就く準備が整っていました。

経歴

ナヴァリンは1889年にサンクトペテルブルクのフランコ＝ロシア工場で起工され、1891年に進水を果たし、1895年には正式に竣工しました。その後、この艦は地中海や極東地域での任務に従事することになります。特に、1900年には義和団の乱に際し国際部隊に参加し、陸戦部隊を輸送するという特殊な役割を果たしました。

ナヴァリンの運命は日露戦争へと続いていきます。1904年には急遽改装が施され、通信能力の向上が図られましたが、開戦によって新しい火砲の装備が間に合わないことが次第に明らかとなります。

1905年の日本海海戦では、ナヴァリンは激しい戦闘を経験します。多くの艦船が新型艦に集中攻撃を受ける中、ナヴァリンもまた重度の損傷を被り、最終的には日本の駆逐艦からの攻撃よって沈没しました。生存者はわずか3名という厳しい結果でした。

劣位と評価

ナヴァリンの設計は革新性を持ちながらも、火力の遅れや装甲配置の不完全さが戦闘における艦の性能に影響を与えました。にもかかわらず、その装甲性能と当時のロシア海軍における役割は高く評価されています。艦の歴史は、ロシア海軍の発展に一端を担ったものであり、戦艦の進化や技術革新を象徴する存在でもあります。今もなお、ナヴァリンは海軍の歴史の中で重要な位置を占めています。

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